7.《ネタバレ》 セシル・スコット・フォレスターの冒険小説を映画化。
舞台は第一次大戦下ドイツ領アフリカ。
宣教師の兄セイヤーと妹ローズとオンボロ民間船「African Queen号」船長チャールズ3人ののどかなやり取り、
戦争によって焼かれる村々、
理不尽な暴力に抗おうと立ち上がる男と女の冒険活劇!
序盤は淡々と話が進むが、徐々に盛り上がっていく演出は見応えがある。
一本の河を通じてアフリカの雄大な自然を突き進む面白味。
そしてラストの「おい嘘だろ(笑)」と思わず言いたくなる衝撃のクライマックス!
今作のハンフリー・ボガートは、いつも漂うキザったらしい嫌らしさが無い。
飾らないで自分をさらけ出したありのままの人間像。
死を目の前にして、愛する女のためにあんな事を言い出せる。
いやあ「漢」だねえ~。
髭面でも男らしい匂い漂うボガートの味のある演技は見もの。
キャサリン・ヘプバーンも良い。
アフリカに兄と二人で布教にやってきた力強さ。
兄の仇を討たんと男勝りに行動できる勇気が出てたね。
この頃はもう良い歳したおばさんなんだけど、髪をパラッとした時のあの色気。
子供みたいに元気でシャキシャキ動く姿は若々しさがあって美しい。
敵の戦艦「ルイザ号」の船長を演じるセオドア・ビケルも面白い役どころ。
さらには過酷を極めるアフリカでのロケ。
二人とも倒れそうにヨレヨレなんだけど、「こんな事で負けてたまるか、一矢報いるまでは死なねえぞ」と気迫に満ちた表情。
それもそのはず、監督のジョン・ヒューストンがスタッフそっちのけでハンティングに熱中。
「人の苦労も知らんであの野郎!てめえもこの魚雷で沈めてやるぞゴラアアアッ!」とスタッフも希薄に満ちた演出をこなす。
特にジャック・カーディフの執念に満ちたカメラワーク!
激流を撮る撮る撮りまくる!
「赤い靴」や「黒水仙」で発揮したカメラをここでも発揮しているのは流石である。