7.《ネタバレ》 大政奉還から薩摩藩邸焼き討ちそして戊辰戦争。藩主は尾張から来ているというのもポイント。そんな中、尾張の徳川慶勝は西軍についてしまう。駿河の小藩の運命や如何に。という時代背景や地理的条件が理解できていないと、作品のオモシロさがわからないかもしれない。南北戦争に疲れた楽隊が混乱の幕末日本に流れ着く。世直し・信仰としての「ええじゃないか」と倒幕としての西軍の進軍ラッパ。そして非武装中立としてのジャズ演奏の見事な対比構造。刀・鉄砲の代わりに楽器を手にし、地下に篭って「勝手に戦争してろ!俺たちにはカンケーネー!」とばかりになんでもアリアリのドンチャン騒ぎ。これぞまさに「THE・自由」。結果、戦禍に巻き込まれる事なくメデタシ・メデタシ?ならジャズ大名は名君ってことに・・・。ずいぶん皮肉の効いた作品だなと思ったら、エンドロールで原作:筒井康隆とわかり納得。 |
6.《ネタバレ》 江戸時代の日本に外国人が漂流というと「おろしや国酔夢譚」の逆パターンのような話になってしまいそうなところを、それがきっかけである潘の殿様(古谷一行)と家来たちがジャズにはまっていく姿を勢いよく描いていて、岡本喜八監督らしい実に軽快な映画に仕上がっていて面白かった。とにかくひたすら陽気でテンションが高くエネルギーに満ち溢れていて、1986年制作と喜八監督の映画としてはけっこう後年の作品にもかかわらず、衰えというものをまったく感じさせないようなパワーがあるのはすごい。そして何よりもこの映画を喜八監督本人が楽しんで演出しているのがよく分かるし、見ている人に対しても肩の凝らない映画をという思いもよく伝わってきて本当に何も考えずに気楽に見ていられる映画だ。ラスト20分の狂乱のジャズセッションのシーンはなんとも強烈で印象に残る。その狂乱の中でいつの間にか明治になっても「俺たちにはそんなこと関係ないぜ」とばかりに狂乱のセッションを続けるエンディングに喜八監督らしい反骨精神のようなものを感じることができた。「ああ爆弾」ほどではないがシュールなシーンも多く、中でもそろばんをスケボー代わりにして城の中を移動する姫には笑わされたし、ほかにも殿様をはじめとしておかしくて個性的な登場人物たちも面白い。喜八監督の映画を見るのはかなり久しぶりで、それもあってか見る前はちょっと不安な面もあったが、そんな不安は見ているうちに吹き飛び最後まで楽しく見ることができて良かったと思う。最後にもう一言、矢口史靖監督の「スウィング・ガールズ」はあんがいこの映画の影響を受けてる部分もあるのかもしれないと少し思った。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-02-13 18:29:13) |
5.《ネタバレ》 監督本来のリズムが感じられた作品はこれが最後だったかな。十字架が東西南北を示すようなどうでもいい細工が、画面を生き生きさせる。不意に岩陰から現われる「ええじゃないか」の絶妙なカット割り。何と言ってもこの映画最大のアイデアは城の設定で、ただ横に長いってだけで後はどうなってるのかよく分からない、というすごいセット。ソロバンに乗って滑っていけるんだもんね。この妹が唐十郎の後ろにじっと控えているあたりのおかしさ(喜八先生の娘とか)。ヤケクソ気味のジャムセッションは筒井好みだが、ドンツクドンドンツクツクは間違いなく喜八先生の世界。おかげ参りも官軍もなぜかなだれ込んできて、地上の戦闘とは無関係に、明治になってもジャズは続くのでした。『肉弾』も戦争の終わりをドラム缶に閉じ籠もって通過させる男が主人公だったけど、こっちのはもっと積極的な拒否みたいなもんだ。筒井のアナーキーが、いいふうに喜八先生のアナーキーと共鳴した。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-01-30 12:09:05) |
《改行表示》4.《ネタバレ》 日本語の方言で吹きかえられた黒人達の旅路が描かれる序盤は、この映画大丈夫かよ、と笑いながらも心配してしまいました。しかし、彼らと日本のとぼけた大名が出会うと、そんな心配とストーリーは放り投げられました。 身の回りの全てのものは楽器になり、後はひたすら演奏会。発表会だとか、自己実現だとか、夢だとか、金だとか、町おこしだとか、映画につきものの動機付けなんか必要ない。「演奏は楽しい」、それだけでええじゃないかというコンセプトだけで作られているような、ある意味至極誠実な音楽バカ映画。決してジャズ映画ではないな。 【すべから】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-12-01 15:11:49) |
3.《ネタバレ》 アニメ『ぜんまいざむらい』を観てたら、無性にこの映画が観たくなりました。徐々にジャズにはまっていく家来のたちの姿が可笑しかったです。音楽はジャズ奏者の山下洋輔さんと原作者の筒井康隆さんが担当。劇中、何度も繰り返すフレーズがしばらく頭から離れませんでした。 【上野若宮深】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-06 00:53:06) |
2.映画の本でも書いてあったけど、筒井康隆のキバツな原作(読んでないですが想像つきます)の雰囲気を見事に映画に落とし込んでいる点がすごい。始終バカバカしいが、変形ミュージカル映画としてみるのがいいと思う。最後の盛り上がりっぷりは「巴里のアメリカ人」と同じくらい?(笑) 途中多少間延びします。 【MASH】さん 8点(2004-01-03 07:57:21) |
1.演出が面白く、何も考えないで気楽に観られる映画。時代劇としては珍しくチャンバラがない。ムキになって戦わず、自分のやりたいことを追及するという主人公の生き方は、もしかしたら賢いのかもしれない。 【洟垂れ】さん 8点(2003-11-03 11:49:23) |