3.《ネタバレ》 こんなにも美しく、そして残酷な映画は観たことがない。
世界広しと言えど、こんな映像はベルイマンにしか撮れない。
それくらい鮮烈な映像だ。
少女の強姦シーン。
これほどまで残酷で鮮烈な強姦描写は観たことがない。
観ていて悪寒がはしった。
動悸がした。
心がざわざわとする程の強烈なシーン。
この強姦シーンを、ここまで際立たせた要因は、少女の美しさに尽きる。
冒頭で、少女が神がかり的な美しさを見せる。
これ以上ない美しさ。
心乱されるほどの、強烈すぎる美しさだ。
この、少女を美しく撮った冒頭部分があったからこそ、後の強姦シーンの痛ましさが際立った。
89分と短い尺ながら、体力を非常に奪われた。
なんていう美しさ、なんという不快な作品だろうか。
この不快感には、どんなスプラッター映画も、どんなホラー映画も、足元にも及ばない。
神秘的な美しさと並存する不快感。
私はイングマール・ベルイマンという監督に畏怖する。
ベルイマンにしか取れない独創性の極めて高いモノクロ映像。
美しい少女と、その少女を極めて神秘的に美しく撮った手腕。
ベルイマンという人が、いかに凄いかを確信できる作品だ。
終わらせ方やラストシーンに疑問は残るものの、並外れた作品であることに疑いの余地はない。
この不快感を基に点数をつけるとすれば、0点のインパクト。
美しさを基に点数をつけるとすれば、10点のインパクト。
あまりに両極端で、点数をつけるのが非常に難しい作品である。
いつかは再見したい作品だが、再見する勇気が湧いてこない。
最後に湧いた「処女の泉」は、私にとってなんの慰めにもならなかったのだ。