8.《ネタバレ》 かなり骨太の作品で充分満足できる内容。
あまり見る人はいないけど、見た人の評価は高い作品かと思ったら意外と皆さんの評価悪いですね。
冒頭数分間で誘拐による恐怖やメキシコでは日常的に起こっていることと観客に植え付けて、その後本ストーリーに進むというのはなかなかいい演出だと思った。
そしてクリーシーがストーリー前にどんな悲惨な目にあって来て、酒に依存するようになったか、ココロを閉ざしてしまったのかをあまり明らかにしていないことが最初は不満だったが、復讐劇が始まるにつれ、だんだんと彼の心情が理解できるようになってきた。
人を人と扱わずなんの躊躇もない非情な殺人鬼と化す姿を見れば、彼がどんな人生を送ってきたか大体は想像がつく。
ウォーケンの一言も重みがあった。
「もう人を殺すのは嫌だ…」このセリフを聞けば彼らの心のダメージがなんとなく理解できる気がした。
さらに彼の怒りの理由も理解できるだろう。
心を病みそうになっていた彼を救った少女、酒も聖書でも救えない彼の心を救った二人のやり取りはなんとも言えずに微笑ましかった。
少女もまた彼によって精神的に救われていたと感じられた。
復讐編の出来もまあまあ良いだろう。
難しい人間関係もなく、単純に一人また一人と殺していく。
その殺し方や尋問方法も色々と手が込んでいて観客にとっては飽きさせない創り。
ラストには少し違和感はあるが、単純に生きてて良かったねと言える。
自分の人生を救ってくれたかけがえない人を助けることが出来て死ねるというのもなかなか悪くないのではないか。
強いて言えば、連邦捜査官がラスト絡むかと思ったら何もなし。ラストの車爆発もなし。
さすがに自分のお尻に爆弾をし込むようなことはしなかったか。
新聞記者の女性も最初はクリーシーを利用しようと思っていたのに、クリーシーと捜査官にいいように使われているのもなかなか面白いと感じた。
この映画は面白いのだが、何か心に引っかかるものを感じる。
脚本は良いのだが、演出のリズムというかテンポがのろい。
カッコつけすぎていてどうでも良い部分までも撮っている感じがしたのは自分だけだろうか。