4.人類が「冒険」をしなくなって久しい。「アポロ計画」は、人類が臨んだ最後の「冒険」となっているのではないかと思う。
1本のロケットもまともに打ち上げられなかった時代、「人類を月に送る」と宣言したJFKは、その計画に対しどれほどの「確信」があったのだろう。
作品の中でも語られているが、彼(JFK)は、ヒーローだったのか、夢想家だったのか、狡猾な政治家だったのか、そのすべてだったのか。
ただ何よりも重要なのは、大国の歴史的リーダーが、自国の威信と誇りをかけて「未知」へと進むための具体的なアクションを起こしたということだと思う。
失敗も成功も、何かをしなければ得られないわけで、すべてはJFKの宣言から始まったのだろう。
月へ向かった宇宙飛行士たちが語るアポロ計画の真実、そして「未知」を経験した価値。それぞれのコメントも実に印象深いものばかりだったが、それ以上に感じたことは、彼らの「目」の輝きだった。皆、80歳前後の老齢のはずだが、その目の輝きは、おそらくかつて月へ向かったかの日のままなのだろうと感じた。
莫大な予算を投じ、多くの犠牲もあった。しかし「冒険」の価値は、そのすべてを凌駕する。
有史以降、未知に向けてのチャレンジは、人類自体の成長そのものだったと思う。
即ち、人類としての「冒険」を止めてしまうことは、人類という「種」自体の退廃に直結する。
大偉業から40年。人類は再び、冒険に向かうべきではないか。