1.「三億円事件」時効成立の夜に死んだ一人の女教師。“自殺”として過去に葬られていた出来事が、“殺人事件”として蘇る。時効まで24時間、三億円事件の無念を抱える刑事が、再び時効成立のリミットに挑む。
面白い。こういう過去と人間が絡み合うストーリー展開は堪らない。
某衛星放送で放映されたテレビ映画ではあるが、横山秀夫のミステリーを見事に映像化した中身の濃い作品だったと思う。
過ぎ去った時間の中に埋もれていた幾重にも絡み合った人間模様を軸にして、隠された真相が取調室の密室で明らかになっていく様は、決して派手さはないけれど、娯楽性に溢れた説得力とドラマ性に溢れていた。
様々な人間の思惑の狭間で、徐々に表われてくる隠された心情、そして突如明らかになる悪意。
女教師はなぜ三億円事件の時効成立の夜に死んだのか。
「偶然」が「必然」に転じた瞬間、ミステリーは極上のピークに達する。
上川隆也を主演に配し、パッと見は地味だがよくよく見ると味わい深い豪華なキャスト陣が示すように、じわりじわりと面白味が深まってくる秀作だ。
原作は未読。以前、本屋で手に取って結局買わなかったことが、今更ながら悔やまれる。