7.《ネタバレ》 説明もなく唐突に時間軸がコロコロと変わる。なのに編集さんがあまりにもいい仕事をしているおかげで、違和感なく観ることができた。ただもう少し短く出来た気もする。それでもこの映画は、普段時代劇を観ない人にも勧めたくなるほど、圧倒的で繊細だ!多くを語らない主人公の心情を、我々日本人がそれぞれ違った解釈をして受け止めたとしても、それをよしとしてくれる。そんな『日本映画』でした。 |
6.《ネタバレ》 丁寧な作りの本格時代劇。必死剣、自分的には有りです。ラストに繋がる過程など練られていて良かったです。池脇千鶴とのあの展開は少し納得がいきませんが、妙に色っぽいと思ってしまった。原作では剣を極めた話や主人公の感情についての説明もあったのかな?少し気になります。日本映画でしか感じることの出来ない満足感はありました。 【ラグ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-02-04 00:56:18) |
5.《ネタバレ》 兼見と別家の対決、及び多数の家臣たちとの中庭での戦い。剣捌きの良し悪しは素人には判別できませんが、兼見の気迫は伝わってきました。執念が、兼見を家老の下まで辿り着かせたのだと思います。下げ尾を切り落とし、口に咥える演出も冴えていました。必死を表現し、かつ鞘も必要無いという覚悟の表れ。“鳥刺し”とは相手の柄に切先を差し込む技術をさし、“必死剣”とは自らの命と引き換えに相手を絶命せしめる剣と理解しました。兼見という捨て駒を上手く利用しようとした家老。キレ者です。思惑通りに兼見は別家を退けました。しかし家老は人間の心を軽んじ過ぎました。組織にとっては駒であろうと、一人の人間。その矜持の高を見誤ったが故に、家老自らも命を落すハメに。保科は言います。連子が居なくなっても藩政に改善はみられないと。連子を殺めた時点で兼見は命を捨てる覚悟だったのですから、最期に藩最大の癌を取り除く事が出来たと考えれば、救われるというものです。あとは無能な君主が早期に隠居することを祈るのみ。人の命を奪うという事は、自らも同じ事をされても構わないということ。その覚悟は必死剣の理念にも通じます。道理を無視した連子と家老は報いを受け、兼見は道理に従ったという結末でありました。気がかりは里尾。傍からみれば縁談を進めていた方が幸せだったように思えますが、果たしてそうでしょうか。幸せの価値は本人が決めることです。少なくとも里尾はその意思を持っている女。兼見が迎えに来るとの約束を果たせぬであろう事は、最初から分かっていたはずです。でもその思いが嬉しくて、でも切なくて、彼女は泣いたのだと思いました。兼見の忘れ形見と共に、彼女は生きていく。ただ願わくば、思い出の中を生きるのではなく、今を、これからを、生きて欲しい。兼見もそう願っているはずです。正直トヨエツがこれほどやるとは思っていませんでした。殺陣もさることながら、実直な侍役がよく似合っていたと思います。トヨエツは現代劇よりも時代劇の方が向いているのでは。鑑賞済みの藤沢周平原作映画の中では『たそがれ』以来久々に満足できた作品でした。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-01-25 18:59:04) |
4.《ネタバレ》 久々に重厚な時代劇を観た気がします。レビュアーの皆さんが驚いているように、池脇千鶴が妙に綺麗に見えるんだよね(物凄く失礼)。最近数本彼女の出演している映画を観ていて、そのギャップあるかもしれないけど、こういう演技が出来るんだ、と変な関心をしてしまいました。 トヨエツは本当に上手いと思う。こういう表現は変かもしれないけど、侍の姿にじわりにじみ出てくるような色気みたいなものを感じるんですよ。「七人の侍」の時の木村功みたいにね。今の若い役者ではこういうのがホント居ないんですよね。だから、多少ヘンなのだけど吉川が面白い具合に引き出されてくる。これはキャストの妙なのかもしれません。 あたしは原作読んだ事がないので内容は全く分からなかったのだけど、ちょっと演出とキャスティングの面で結構先読みが出来てしまう感じがあったので、ちょっとガッカリでした。岸辺一徳と小日向文世の役は逆転していた方が最後の最後まで緊張を維持できる良い映画になった気もします。 【奥州亭三景】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-09-15 12:34:14) |
3.《ネタバレ》 実に丁寧な作りの時代劇で、至福の時間を過ごさせてもらいました。原作は未読ですが、岸部一徳が登場するや「黒幕はお前だ」と思いました。おそらく他の多くの方もそう思ったはずで、終盤のサプライズを大きくするには、配役にもう少し意外性があっても良かったかなと感じました。 【ジャッカルの目】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-08-02 02:10:53) |
2.《ネタバレ》 池脇千鶴をこんなに美しく撮るなんて・・・これは、詐欺なのか魔法なのか! 観客に媚びるような過度な演出は控え、回想シーンを巧みに織り交ぜながら、美しい庄内地方の自然を背景にして、男女の心情変化を描きます。 『誰の為に死ねるか?』の問いに『愛する者の為に生きる』という答えを最期に出した彼は、必死剣を繰り出さねばならぬ状況に追い込まれます。このラストの殺陣が、現実の切り合い(殺し合い)を見事に表現した素晴しい出来です。 一見すると、とりとめの無い時代劇に見えますが、実は映画の面白みがじっくり詰まった秀作です。まさに~外見は飾らず志は高く~武士(もののふ)のような生き様の作品というべきか。 【つむじ風】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-28 01:35:13) |
1.《ネタバレ》 久々の骨太な時代劇でした。あのように 美しい日本の原風景は庄内地方でのロケ ということで、納得しました。本当の 切り合いとはあんなものだと思いましたが、 帯屋隼人正に「お手向かいしますぞ」と 小刀を抜いた瞬間に、凄まじい殺陣が予期 でき、嬉しくなってしまいました。 唯、絶命直前に、刀の下緒を噛み締めた意味 が不明でした。DVDで繰り返し見て、さらに確認 したいと思います。どちらを「鳥刺し」で仕留める のかなと迷いましたが、やはり殿様はどんな いやな殿様でも手向かいできなかったのが 武士の世界であったのかと自答しました。 【亜酒藍】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-18 17:38:20) |