1.スコット・フィッツジェラルドの「遺作」、そしてエリア・カザンにとっても「遺作」になるとは皮肉なものだ。
1つ違うのは、フィッツジェラルドの原作は未完に終わるが、カザンの映画は未完とされる部分で結末を迎えているところだ。
かつてハリウッドを代表するプロデューサーだったアーヴィン・タルバーグをモデルにしたストーリー。
ロバート・デ・ニーロが相変わらず「誰てめえ」ってくらい名演。
劇中の時代は恐らくトーキー全盛期の1930年代、つまりタルバーグがなくなる直前の最も彼の人生が目まぐるしかった時だ。
物語の主人公モンロー・スター(タルバーグ)は作品を成功させるためなら容赦なくハサミを入れる男。
信頼はあるが、その徹底した商業主義は上層部や監督たちからやや距離を置かれているようにも感じられた。
そんな大物プロデューサーのロマンス、そして破滅。
かつて彼が目をかけた大物女優ディディは「年増」と揶揄されていた。
彼女がモンローにとっての“過去”であり、彼を慕うエドナは「現在」、彼が追うセシリアは彼にとっての「未来」なのだろう。
そんな「未来」は彼のプロシューサーとしての実績に暗い影を落とそうとする。
いや、性格には彼が深入りしすぎたと言うべきか。
どうでもいいけど、例のハゲのオッサンは何度見てもヒッチコック御大にしか見えません。本当にありがとうございます。