1.いや素晴らしい。我々をシビレさせてくれる映画がまたここに一本。悪の道から足を洗い平和な生活を望む主人公を、突如銃弾の嵐が襲う。全身蜂の巣となった彼は、一命を取りとめるが、仲間が殺害されるに及んで、ついに彼は復讐を開始する……で、もしこの作品が、リアリティ重視で行くんだったら大怪我をおった主人公が後遺症で苦しんだり、リハビリに励んだりする場面を脚本にたっぷり盛り込んでシタリ顔をするところなんでしょうけれど、本作はそういう枝葉末節にはこだわらない、なぜなら、雰囲気を描く映画だから。主人公は冷静に宣戦布告をし、着々と復讐を進める。そのシブさといったら、もうタマランのですね。その過程では、重要な登場人物である主人公の子供たちとの関係の描写すらも、グッと抑えちゃう。心配ご無用、映画の最後で家族愛はしっかり描かれるから。この作品は、主人公が過去を清算する物語。それなりの過去を持つ人間は、それなりの清算が無ければ、ささやかな平穏すらも得ることはできない。その姿を、その雰囲気をじっくり描けば、映画は映画になるのです。