3.《ネタバレ》 14歳。100%純な子どもではないけど、大人な割り切りや算段もできない時期。ジュヴナイルドラマにぴったりの年齢なのでした。今作はそんな多感な彼らを取り巻く環境、特に地域背景の描き方がとても秀逸に感じました。アーカンソーの片田舎ってだけで‶古き”南部の街がイメージされるうえ、主人公エリス少年の家はミシシッピ川のほとりのボートハウス。アメリカにこんな住環境があるんだ、と驚きます。もっとも行政からは撤去を求められているとのことだけど。
エリスは両親が離婚寸前だし友人のネックボーンも親がいなくて叔父と暮らしており、決して裕福でない彼らの青春もまた米国のリアルなのですね。
14歳の夏にエリスとネックボーンが遭遇する大人たちの人生ドラマ。いつか彼らも齢を重ねてこの頃を振り返ったら、その眩しさと若さに改めて思い至るのでしょうか。ああ年上の彼女にあっけなく振られたな、バカだったな俺。とかマッドって珍しいほどの純情一徹なやつだったな、でもそんな男にも打算てものがあったんだよね今なら分かる、とか30過ぎたエリスならこんな風に思い出すかな。
若いって、幼いって、「分かってない」けどでも理屈抜きに正しい。
ラストに愛も家も永遠不滅ではないのだと知る14歳の夏。ビターな通過点だけど大人へ向かうエリスたちに強さとしなやかさも感じる素敵な作品でした。