ブルー・リベンジ (2013)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ブルー・リベンジ (2013)

[ブルーリベンジ]
Blue Ruin
2013年上映時間:91分
平均点:6.22 / 10(Review 9人) (点数分布表示)
公開開始日(2015-02-14)
サスペンス
新規登録(2015-07-06)【8bit】さん
タイトル情報更新(2018-10-12)【かたゆき】さん
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監督ジェレミー・ソルニエ
配給トランスフォーマー
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4.《ネタバレ》 情念のぶつかり合いこそが復讐映画の醍醐味なのですが、本作にはそれがありません。冒頭20分にはほとんどセリフがなく、観客に対する状況説明もなし。虚ろな目をしたホームレスが人を殺すのですが、この時点で観客は誰が誰を殺したのかがよくわからないため、そこには何の感情も起こらないのです。その後の説明で、どうやらこのホームレスは親の仇を殺したということが分かるのですが、当のホームレス自身も復讐による高揚感や、人を殺したことへの後悔といったありがちな感情をほとんど表していないという点が、作品の異様さをより高めています。
本作のテーマは復讐の連鎖であり、対テロ戦争開始後のアメリカ映画ではさんざん扱われてきて若干陳腐化の傾向もあるテーマですが、本作ではかつてなかった切り口でこれが描かれています。主人公は両親を殺されたショックで精神をやられてホームレスとなっていたが、現在の淡々とした表情を見るに、親の仇に対する怒りも時間とともに薄れていたようです。しかし、事前にやると決めておいた復讐は一応果たしに行く、失うもののないホームレスだから刑務所に入れられることも怖くないし。主人公がやり場のない怒りや、どうしようもない使命感に突き動かされているのではなく、ただ何となく復讐に走るという点が異様だったし、そのドラマ性のなさにある種のリアリティを感じさせられました。
しかし、事は一筋縄にはいきません。復讐を果たした自分が服役して終わるだろうという見込みは外れ、加害者家族は警察に被害届を出すのではなく、主人公(と姉一家)に報復するという行動に出ます。ここに、被害者一家と加害者一家の血で血を洗う抗争が始まるのですが、ザ・ホワイトトラッシュといった感じのイカつい風体と重武装、しかも貧困層らしくやたら人数の多い加害者一家に対して、戦闘力ゼロに等しく不意討ちをかけるしか逆転の目のない主人公はモルドールに潜入したホビット同然の存在。この絶望的な戦力差が作品に大変な緊張感を与えており、特に姉宅襲撃場面では『ノーカントリー』を初めて見た時並みにハラハラさせられました。
その後、加害者一家側の事情も明らかにされ、序盤で主人公が殺した相手が実は親の仇ではなかったこと、両親殺害の犯人はすでに死んでいることが判明します。しかし、一度始まった復讐の連鎖は誰にも止められず、第一の当事者である親の世代が全員鬼籍に入っているにも関わらず、子の世代はもはや何の目的かもよくわからない殺し合いを延々と続けます。これを終わらせるには、どちらかの家族が全滅するしかない。アメリカの対テロ戦争やパレスチナ問題など、多くの国際問題に共通する論点を主要登場人物10名程度の小さなドラマに圧縮してみせた脚本の出来が素晴らしく、単なるバイオレンスの佳作に終わらせない含蓄ある作品となっています。
監督のジェレミー・ソールニアーは記事によっては驚異の新人扱いされているものの、実際には本作以前にも10年ほどのキャリアを持つ人物です。長い下積みに終わりが見えず本作を最後に引退しようと考えていたものの、その最終作がカンヌ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞して映画祭の目玉作品のひとつとなったことから、キャリアが一転しました。人生とは分からんものです。次回作の”GLEEN ROOM”も引き続き高評価を得ており、今後、大化けする可能性のある監督として要注目なのです。
ザ・チャンバラさん [インターネット(字幕)] 8点(2016-06-23 18:13:38)(良:2票)
3.《ネタバレ》 前半はまったくセリフがなく、中盤以降も静かな映画です。極力セリフを排し、映像で観客に主人公の心境を訴えようという姿勢が見て取れます。フランスの若手監督クサヴィエ・ドランがインタビューで「映画はセリフに支配されるべきではない」と言っていましたが、この映画はセリフに束縛されず、のびのびと撮影・編集されている印象を受けます。映像のみで語ることができる唯一のジャンルである映画という原点に立ち返り、スタイリッシュな復讐劇を成功させています。ただ画面を眺めているだけではいまいち楽しめないでしょうが、集中して見るとどんどん引き込まれていきます。レビュー数はこれを含めてわずかに2つ。決して有名な映画ではありませんが、見逃すのはもったいないです。セリフが少ない映画だからこそ、クライマックスの会話に生じるカタルシスは大きい。
カニばさみさん [DVD(字幕)] 8点(2016-02-11 03:24:02)(良:1票)
2.《ネタバレ》 冒頭からのけぞる展開。とある囚人が司法取引によって刑期を全うせずに釈放される。2人も殺害しているのに? アメリカのサスペンス映画では「司法取引」は当たり前のように出てくるし、まあそんなものかとこれまで何となく思っていたけれど、「犯罪者を逮捕・収監するたび刑期短縮の司法取引を延々と繰り返せば、ドミノ倒しのような有様になる。そんな状況下で『人を逮捕する』という行為に果たして意義があるのか?」と、本作で初めて疑問に思ってしまった。

警官がドワイトに余計な進言を入れているように思えるが、犯罪率の高いお国柄ではやむを得ないアドバイスなのかもしれない。加害者が釈放されたことを知らずに暮らすリスクは、おそらく私たちが想像する以上に大きいのかもしれない。それにしても、一般市民がマフィアにしか見えないおぞましさ。今自分が見ている映画は『ゴッドファーザー』じゃないはずだと何度も頭の中で戸惑っていた。社会的地位もそこそこ築いて人間らしい生活をしているように見えるドワイトの姉ですら、「(加害者を)苦しませたでしょうね」と弟に確認するくらいだ。いや、本当にありえない。

とにかく呆れるばかりの倫理観のなさ。置き引き、車上荒らし、不法侵入、病院の治療費の踏み倒しと、罪の意識を全く感じることなく次々と犯しつづけるドワイト。殺人の替え玉がまかりとおるゆるゆるの司法。ライフル銃、散弾銃がふつうの家から当たり前のように出てきて、十代の少年ですらしっかり的を狙って撃つことができるバリバリの銃社会。
それに、とても清潔とはいいがたいロケーション。ベニヤ板で作ったような隙間だらけのトイレとか、銃痕だらけの錆びついた車で寝泊まりとか、簡単に侵入者が出入りできるような戸締り不完全な木造住宅とか。治安の比較的よい日本でも、犯罪者の部屋は不衛生で荒れていることが多いと言われているけど、この法則はアメリカでも有りなのではと思ってしまった。

それにしても、どうして登場する人々は誰も彼も直情的なのだろう。なぜこんなに短絡的に、武器をもって人を傷つけることができるのか。不倫をすることは確かに褒められた話ではないけれど、その前に話し合うとか、弁護士を呼ぶとか、いくらでも理性的に話を勧める手立てがあるだろうに。そもそも加害者側であるクリーランド家の人間は、遺族に対して初めから何の引け目も感じていないのだろうか。

物語を全て観終わって強烈に感じたことは、登場した人物に成熟した者が誰一人としていないこと。加えて、法が驚くほど機能しておらず、大なり小なり何のストッパーにもなっていない。皆本能的に、後先考えず憎しみの連鎖にやすやすと巻き込まれていく。この地の学校では、他者とのかかわり等、社会面には重きをおかず学業ばかりを教える教育が主体なのか? 生活圏にあふれる銃器に住民は思考力を奪われているのか? 諸悪の根源はどこからくるのかと真剣に考えてしまった。最後に「ヴァージニア」という文字が入ったちらしがドワイトの姉の家に新聞とともに投げ込まれる。ドワイトが町を出るとき購入した地図もまた「ヴァージニア」のもの。原作者はこの州名をよほど強調したかったと見える。青いオンボロ車の復讐劇は、強烈なインパクトを残して幕を閉じた。
tonyさん [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-30 01:36:59)
1.序盤はヒリヒリする緊張感で良かったが、終盤はやや間延びしたかな。今月は旅行、仕事、W杯もあって久々の映画鑑賞。映画はやっぱりいいなあ。
kaaazさん [インターネット(字幕)] 8点(2018-06-29 22:19:58)
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【点数情報】

Review人数 9人
平均点数 6.22点
000.00%
100.00%
2111.11%
3111.11%
400.00%
500.00%
6222.22%
7111.11%
8444.44%
900.00%
1000.00%

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