6.《ネタバレ》 80年代のイギリス。サッチャー政権下、炭鉱ストライキと炭鉱町の人々の人間ドラマ。
「ブラス!」などイギリス映画でよく見られるテーマですが、イギリス映画らしさとその誇りが随所に垣間見える作品です。
本作は実話に基づく、ウェールズの田舎町の炭鉱労働者と、
それを支援しようと立ち上がった同性愛者の活動家達の共闘の物語。
重くなりがちなテーマですが、同性愛者の若者達が作品の中心にいることもあって、いい意味で明るさや躍動感がある。
ビル・ナイ、イメルダ・スタウントンらイギリスの名優達が演じたウェールズの炭鉱町の名も無き庶民達との心の交流の軌跡に心が温まる。
80年代、第2次ブリティッシュ・インベイジョンの時代でイギリスのミュージックシーンにも勢いがあった頃の挿入曲が作品に躍動感をもたらす。
「皆さんがくれたのはお金じゃない。友情だ。」とゲイバーでスピーチする炭鉱の組合の代表者。
まさにこの精神がこの実話を生み出したんだろうなと思う。
炭鉱夫の男達と同性愛者だけでなく、炭鉱町の妻達をはじめとする女性達の心情もうまく挿入されています。
実際に行われたというラストの労働者と同性愛者達のパレード。掲げられた数々の旗が誇らしげで感動的です。
まだまだ同性愛者たちが市民権を得る前の時代のお話ですが、
イギリスで彼らが市民権を得る第一歩になったのが、今度は炭鉱の労働組合の側から差し伸べられた連帯であったという。
人のつながり、確かな心のつながりを感じる実話に基づく人間ドラマでした。