1.《ネタバレ》 たぶん、宇宙から人が降ってくることはまずないでしょう。そして辺境の地にあるマンションに暮らしていて、隣りの部屋に映画女優が越してくることもまずないでしょう。これは限りなく確率0%に近い、もしかしたら現実にありそうなお話。どこかファンタジー映画を観ているような、夢見心地な気分に浸れました。灰色にくすんだ映像や廃墟のようなマンション、それは人々の寂しさや空虚な心境をよく投影しています。それが終盤になるほどその風景の冷たさは、人や心の温かさを際立たせる引き立て役のように機能してきます。決して派手さはありませんが、これこそ映像のマジックでしょう。6人が織りなす3つのエピソードは、性別・年齢・人種を越えた何気ない友好のメッセージ。ハリウッド映画のそれとは違って、実に自然な配役なのでとても好感があります。一人で寂しい人。想像力のある人。そんな人たちにとって、きっと人生の宝物になる映画だと思います。