3.《ネタバレ》 もっと軽いタッチのコメディを見るつもりでの鑑賞でしたが、
いい意味で期待していたものとは違った苦みのあるコメディでした。
1970年代も終わろうとしている頃のアメリカ。異なる時代の価値観を持つ15歳の思春期の少年とシングルマザー。
母とはまた違う世代の価値観を持った、少年にとっては2人の年上の女に、1人の男。
ベトナム戦争の戦後であり、そうした時代背景が生み出したヒッピームーヴメント。そしてパンクロックやフェミニズム。
当時のそんな世相、文化、価値観を折り込みながら、ごく狭い範囲で共に暮らす価値観も世代も異なる登場人物それぞれの成長のお話。
マイク・ミルズの自伝的要素が含まれるという15歳の少年を主人公とした青春映画を軸としながら、
親子間、世代間、男女間の価値観の違いから生じる衝突に、それを乗り越え互いを思う気持ちを描き出す脚本の良さと共に
誰も声を荒げることも、大きく泣き崩れることも無い。ミルズの抑えた演出、主要キャストそれぞれの抑えた演技も光る作品です。