2.《ネタバレ》 何年ぶりになるだろう?クストリッツァの実に久しぶりの新作。
作品からほとばしる、この人の映画特有の力強さに全く衰え無し、本作も素晴らしい作品でした。
いつものクストリッツァと同じく、愛すべき動物たちと牧歌的な農村の風景から作品はスタートする。
しかし間もなくこの村は戦場であることをすぐに思い知らされますが、
そんな中に生きる人々の人間描写もまた、彼らしい独特の明るさと力強さがあります。
〝イタリアの宝石″モニカ・ベルッチの変わることの無い美しさと共に、
ミレナを演じた女優さんの、モニカに全くひけを取らない存在感もまた印象的でした。
モニカ演じる〝花嫁″と愛し合うことになる、クストリッツァ自らが演じる主人公の男ら主要登場人物と
動物たちの楽しい絡みや、もう1つのクストリッツァの映画に欠かせない要素、登場人物が楽器を奏で歌い踊る音楽もまた素晴らしい。
休戦を祝い、村人が歌い踊る宴。しかしモニカを追ってやってきた黒ずくめの特殊部隊が、その平和なひと時を粉々にしてしまう。
その特殊部隊が多国籍軍であるというところに何とも言えない皮肉を感じます。
以降は愛し合う2人の特殊部隊からの逃避行が描かれますが、水辺から川の中、そして荒涼とした羊の放牧地での追手との攻防は圧巻の一言。
祖国の内戦を背景にしたものが多いクストリッツァ映画ですが、平和の象徴のようなクストリッツァ映画に出てくる動物たち。
本作で最も印象的なのはハヤブサですが、戦争の悲惨さを寓話的要素に包み込み、いつにも増して彼らの強い意志を感じさせます。