1.《ネタバレ》 生い立ちに絡み否応なしに訪れる厳しい現実を、痛々しいまでに容赦なく描いている。
それを演じ切った門脇麦は見事だし、彼女との対極的な存在として奔放な役柄を演じた水原希子もなかなかのハマり役。
女の敵は女として描くのではなく、女性同士を共存すべき存在として描いている。
そこに女流監督としての心意気を感じ、またセンスも感じる。
自立して生きている、もしくは自立しようと奮闘している現代女性への応援歌のような作品だ。
色々と苦しいこともあったけど、ほのかに希望を感じさせるラストは、なかなかの味わい。
世の中楽しいことばかりじゃなくて、最悪で泣きたい時もある。
そんな時、話を聞いてもらえる誰かが居れば、それで良いんじゃないかな。
劇中のそんなセリフが印象的だ。
外から東京にやってくる人達が憧れる典型的な東京の景色(東京タワー、東京駅)が分かり易く描かれていたり、虚しく流れる東京の夜の街風景が何度も出てきたりと、どこか寂寥感を感じさせる東京の描写も秀逸。
(余談)
・松濤という町の名前が幾度となく出てくるが、外から東京にやってきた人たちが決して立ち入ることのできない場所として描かれているのが面白い。
・監督さん、わたしと同じ大学、しかも同じ学部・学科ということで、とても親近感を覚えたし、これからもマークしていきたい。
・石橋静河さん、石橋凌と原田美枝子の子供と最近知って驚いた。というか、石橋凌の奥さんが原田美枝子ってのも重ねて驚き!