9.《ネタバレ》 「Soliel Rouge」。
テレンス・ヤングと言えば「007」でおなじみの脳みそ「テレッテレー♪」な監督だが、「暗くなるまで待って」とかまともな作品もあるので油断できない。
だが本作は文句なしにテレンス・ワールド全開の映画だ。
からっ風吹き荒れる荒野にたたずむ日本の武士。
文化の壁を破壊するようなシュールな光景だが、そこに立つ侍の「黒田」には男の魂が宿る。
明治維新の使節団として派遣された黒田たち。
強盗団の襲撃に巻き込まれ、天皇からの授かりものである宝刀、そして同僚の命を奪われる。
上司の密命を受け、命懸けの行動に出る黒田。
移りゆく時代を受け入れようとする黒田と、時代に縛られずに生きる賞金稼ぎのリンク。
軍人とアウトロー。
どこまでもデコボコな二人が、死地をくぐる度に絆を深めていく。
話は突飛な描写や展開も多いが、時代考証は上出来(明治維新以後なら天皇が取り仕切る。でもわざわざ紋付き袴で来なくても・・・)。
テレンス・ヤングの荒っぽさと三船敏郎の知識が融合したような映画だ。
三船敏郎の殺陣、馬術、英語とポテンシャルを遺憾無く発揮。
髭面のブロンソンも悪党のアラン・ドロンも伸び伸びしている(ドロンの声だけ吹替なのが残念)。
ブロンソンの鋼の肉体、三船敏郎の無駄な肉が無い引き締まった体。
とことん男の友情が詰まった「雄」の映画です。