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ミュージックボックス

[ミュージックボックス]
Music Box
1989年上映時間:125分
平均点:7.89 / 10(Review 18人) (点数分布表示)
公開開始日(1990-12-08)
ドラマサスペンス法廷もの政治もの
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2019-08-01)【Olias】さん
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監督コスタ=ガヴラス
キャストジェシカ・ラング(女優)
アーミン・ミューラー=スタール(男優)
フレデリック・フォレスト(男優)
ドナルド・モファット(男優)
ルーカス・ハース(男優)
マイケル・ルーカー(男優)
アルバート・ホール(男優)
マーゴ・ウィンクラー(女優)
脚本ジョー・エスターハス
音楽フィリップ・サルド
撮影パトリック・ブロシェ
製作アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮ジョー・エスターハス
配給日本ヘラルド
美術ジャニーン・オッペウォール(プロダクション・デザイン)
あらすじ
女性弁護士アン(J・ラング)の父親であるマイク・ラズロは生まれ故郷ハンガリーからの移民として第二次大戦後アメリカに移り住んできた。早くに妻を亡くし、男手で子供を育てあげた彼は暖かい家庭人。がハンガリー政府からの資料から彼が実はミシュカと呼ばれるユダヤ人虐殺に関与した戦争犯罪人である事がわかり、逮捕引渡しを求められる。無実を求める父親の弁護をアンは引き受け裁判が始まるが、無罪を立証しようと努力する彼女にだんだんと父親の過去が見えてきて...社会派監督コンスタンチン・コスタ=ガブラス監督の法廷ドラマ。
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8.《ネタバレ》  非常に難しいテーマを興味深い手法で描いています。

 戦争犯罪、特に罪のない市民の虐殺は絶対に許すべきものではないということは当然の事ですし、その犯罪に携わった人間は厳しく罰せられるべきであるということも十分わかっています。ただ、自分がジェシカ・ラングの立場に立ったときに同じ行動を起こせるかというと、正直なところ難しいですね。

 ただ、これはホロコーストの問題に限らず、自分が生き残っていくため、仕えている国家や企業、そして自分の家族を守るため嘘を貫き通し秘密を墓場まで持っていく人間というのは確実に存在しているということは良く理解できました。
TMさん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-30 13:34:54)(良:1票)
7.《ネタバレ》 "政治的実録映画「Z」「告白」「戒厳令」のコスタ・ガブラス監督によるベルリン国際映画祭で金熊賞に輝く、社会派法廷ドラマの秀作「ミュージック・ボックス」"

この映画「ミュージック・ボックス」のコスタ・ガヴラス監督は、もともと社会派の実録映画作家です。
ギリシャ生まれで、政治家ランプラスキー暗殺事件にヒントを得て、時のギリシャ軍事政権を痛烈に批判した「Z」(1968年)、スターリニズムの驚愕の実態をえぐった「告白」(1969年)、南米ウルグアイで実際に起こった事件を基にした「戒厳令」(1972年)など、政治的実録映画を次々と撮って来ました。

その後、アメリカでも映画を撮るようになり、1982年にはチリの軍事クーデターにアメリカ政府やCIAが関与していた事実を暴いた、ジャック・レモン主演の「ミッシング」で、カンヌ国際映画祭の最高賞のグランプリ(現在のパルムドール賞)を受賞しました。

そして、1988年には、アメリカ社会に根強く存在する人種差別のテロリストたちを軸に、FBIの女性捜査官とテロリストが対立する立場にいながら、恋に落ちるという「背信の日々」を撮りましたが、この映画「ミュージック・ボックス」は、ユダヤ人虐待の嫌疑をかけられた父の無実を晴らそうとする、女性弁護士の苦悩を描く社会派法廷ドラマで、ペルリン国際映画祭で、最高賞の金熊賞を受賞している作品です。

女性弁護士アン・タルボット(ジェシカ・ラング)は、第二次世界大戦後にハンガリーからアメリカへ移民し、平和な日々を送って来た父マイク・ラズタ(アーミン・ミューラー・スタール)が、突然、ハンガリー政府からユダヤ人虐待の容疑者として、彼の身柄の引き渡しを要求された事で、周囲の反対を押し切って、父の弁護をする事を決意しました。

そして、真相を調べていくうちに明かされる、過去の知られざる父の姿。
彼女は、父の無罪を証明するために、父の祖国ハンガリーへ飛ぶが----。
娘と弁護士という立場で揺れ動くアン・タルボットをジェシカ・ラングが熱演しています。

新たに浮かび上がった事実は、父が移民の際、自分の身分は警察官ではなく農民だと偽っていた事でした。
また、同じハンガリー移民のゾルダンという男に、なぜか送金していた事もわかって来ました。

そして、法廷では父がユダヤ人虐殺の先兵であった特殊部隊の"ミシュカ"と同一人物であるという証言が次々と行われ、状況は決定的に不利だと思われました。
しかし、父の無実を信じるアンは着実な反証によって、検察側の証人を切り崩す事に成功するのです。

検察側は遂に"ミシュカ"の知人だという男を証人として持ち出して来ますが、アンはハンガリーのブダベストまで行き、病床にあるその男を訪ね、そこで決定的とも言える反証の資料を手に入れるのです。

しかし、アンの胸中には、父が送金していたゾルダンという男の事故死についての疑念が晴れず、何かすっきりとした気持ちになれませんでした。
その時、アンはゾルダンの姉から唯一の手掛かりになると思われる質札を預かりました。

その後、アンがアメリカへ戻ると、新聞は父の有罪立証が不可能であるという事を一斉に報じていました。
しかし、アンはブダペストでユダヤ人虐殺の証拠である、顔に傷を持った男がゾルダンである事を見てしまっていたのです。

そして、質札から引き出されたミュージック・ボックス(オルゴール)が意外な真実を告げたのです。
その中には、ユダヤ人に銃を向けている若い頃の父の写真が入っていたのです----。

激しく問い詰めるアンに対して、父は私を信じてくれと言うばかりでしたが、もはやアンは父を愛する事が出来なくなっている自分の心に気づき、黙って父の有罪を告げる証拠写真を連邦警察へと送るのです----。

やはり、コスタ・ガプラスという、不当な権力による政治的犯罪に対する、燃えたぎる不屈の精神、抵抗、そして、人間の尊厳を踏みにじる諸々の行為に対する告発----、これらの彼の映画作家としての資質を抜きにしては、とうてい、この映画は製作されなかっただろうと思います。
dreamerさん [DVD(字幕)] 8点(2023-08-24 10:10:14)
6.《ネタバレ》 原作および脚本はジョー・エスターハス。この人は本作以降の90年代に『氷の微笑』で有名になって『硝子の塔』や『ショーガール』でラジー賞の常連にまで堕ちてしまった脚本家ですが、ハンガリー人移民の子で実はアーミン・ミューラー=スタールが演じるミシュカは自分の父親がモデルです。戦犯に問われるようなことをしたのかまでは定かではないですが、当然のごとく父親から絶縁されたそうです。監督は政治的映画の巨匠コスタ=ガヴラスですが、やはり本作はガヴラスじゃなくエスターハスのストーリーだと言えるでしょう。80年代までのエスターハスは割と正統的なミステリーを書く人だったんですが、あの『ショーガール』の人がこんなに素晴らしい脚本を書いていたとは驚きです。間違いなく彼の最高傑作です。 刑事事件のような裁判で肉親が弁護人になれるのかという制度上の疑問はありましたが、冒頭の遣り取りを見た感じではアメリカでも問題とまではいかないまでもレアケースみたいですね。でもこれはハンガリー移民の自分が、男手一つで娘を弁護士にまで育てたことを判事に印象づけたいという、計算づくの自己アピールに過ぎないんだという事が後々判ってくるんですね。ジェシカ・ラングも名演でしたが、アーミン・ミューラー=スタールの演技にも底知れない心の闇を見せられたようでゾッとさせられました。少しずつ明らかにされてゆくミシュカの過去、渡米してからも過去の闇とは縁を切ることが出来ずに新たな罪を犯してしまう、そしてミュージック・ボックス=オルゴールがついに暴く父親の真の姿、ほれぼれする見事な脚本です。孫のマイキーをポニーに乗せて調教する荒々しい言動にはすっかり本性が露呈してしまったような感じがしました。個人的な感想ですけど、できればここで映画の幕を閉じて欲しかったかなと思います。その後のジェシカ・ラングのとった行動は弁護士としての職業倫理からは逸脱しちゃっている感があるし、なんか後味が余計に悪くなった感じがするんです。いかがでしょうか。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-08-13 22:51:58)
5.《ネタバレ》 世の中にはまだDVD化されていない名作が多いのだが、このコスタ=ガブラス監督の一本もまたしかり。戦争犯罪を犯したとされる父親の為に弁護士の娘が無実を証明すべく立ち上がり、周囲の協力を経て裁判で勝利しそうなところまでもってゆく。が、証拠を集めれば集めるほど彼女には疑念がわいてくる...作品における前半~中盤に至る法廷サスペンス劇も内容の重さに気が重くなりそうなのだが、本当の衝撃は後半、彼女が戦争犯罪の現場となるハンガリーへの旅で見つけた事実と証拠品=ミュージックボックス(オルゴール)の出現によってやってくる。そして最後に彼女がとった決断。被害者がいる以上「犯罪」には結局、時効という概念は無いのだという観点もわかりつつ、「改心」という余地を全面否定してもよいものなのか、戦争犯罪の責任は国家/個人どこまで及ぶものなのか(この父親役アーミン・ミューラー=スタールの演技が上手すぎる)...まぁこのピーチクパーチク述べている私の感想の意味は、本作を見てからどうぞ皆様、ご判断下さい。「Z」「戒厳令」「告白」といった初期監督作に比べればわかりやすい+初見時の衝撃=高校生の自分に与えたインパクトを考えて+1点追加。TSUTAYAでも紀伊国屋書店でもジュネス企画でもどこでもいいから、ちゃんとソフト化してください。お願いだから。【2021年追記:とレビューを書いてはや3年。この度TSUTAYAの「良品発掘コーナー」にて待望のDVD化。この調子で「Z」「戒厳令」「告白」のDVDレンタル化も、宜しくおねがいしま~す】
Nbu2さん [映画館(字幕)] 8点(2018-04-12 00:39:46)
4.《ネタバレ》 だんだん正体を現わしてくる怖さは、この監督お得意の世界。国家の狂気とか権力の狂気を、アーミン・ミューラー=スタールのお父さんからじわじわと滲み出させる。父が絶対犯せるようなものでない犯罪の数々、しかし誰かが確実に行なった残虐行為、証人が次々に「この男です」と父を指差す裁判の場が緊迫。身近な人が得体の知れぬ者になっていく怖さ。裏返せば、こんないいお父さんでも、そんなこと出来る人間なんだ、という怖さでもある。父の笑顔と残虐行為が重なるミュージックボックスのシーンはゾッとする。ただファシストの残虐行為を告発するだけじゃなくて、じゃあそういうことやった人間はどういう人間だったのか、その罪はどこまでその個人が負うべきなのか、ってとこまで問題を拡げてるのが偉い。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2014-01-21 09:38:43)
3.ホント、なんでこんなレビュー少ないんですかあ?この映画。最初に観た時、真相が明らかになるクライマックス、全身粟立つような感覚を味わいましたよ。「あなたならどうする?」っていう苦渋の選択を突きつけるガブラス監督の問題提起から、観客は誰も逃れる事が出来ないはず。エンターテイメントとしても一級品!サスペンス・ミステリー映画ファンの方、是非観て下さい。でも俺だったら・・・、うーん、どうするだろなあ。
放浪紳士チャーリーさん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-15 11:31:00)
2.良き父親と信じていた人物がナチ戦犯だと訴えられ、無実を信じたい娘が疑念との間で苦悩する。最初はまさかという気持ちで弁護をかって出るが法廷で生き残った証人たちが述べる証言はどれも不利なものばかり。証人たちがナチの残虐行為を淡々と告発するのがドキュメンタリーっぽい。この残虐さを聞けば時効なく罪を追求されるのも当然かと思う。見てるとどうしたって真っ黒な気がするのだけれど、どうなるのかと緊張感に満ちた展開が面白く惹きつけられる。終始疑念と情の狭間で苦悩する娘のJ・ラングが好演。頑強に罪を否定する父に同情する気にはならないが、身内とすれば辛い葛藤があるだろうと様々な感慨も湧いてくる。消えることのない罪の告発という重い話だが、娘が父の過去の謎に迫るという展開に親子のドラマを絡めて見ごたえのある作品になっている。



キリコさん [ビデオ(字幕)] 8点(2004-11-27 20:00:18)
1.ナチ、ホロコースト関連の映画としてはかなりの力作なんだけど、日本ではほとんど知られてない?私が5番目とは...。役者もいいし、見終わった後ズシリとくる作品ですよ。こういうのをDVD化しなきゃいかんのじゃないですかね?(なってたらゴメンナサイ)
あおみじゅんさん 8点(2003-12-11 18:29:36)
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【点数情報】

Review人数 18人
平均点数 7.89点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6211.11%
7422.22%
8844.44%
9211.11%
10211.11%

【アカデミー賞 情報】

1989年 62回
主演女優賞ジェシカ・ラング候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1989年 47回
主演女優賞(ドラマ部門)ジェシカ・ラング候補(ノミネート) 

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