5.《ネタバレ》 公開当時既に、読売新聞社の言い訳じみた報道協定の「精神に違反していない」という言い方には、共に見た友人ともども納得できなかったが、今見てもそれは変わらない。警察がガセネタを掴まされていたり、勇み足をしていたら、この人達はどう言い訳するんだろう?
誘拐犯のショーケンが、だんだんと追い詰められていく様が実にリアル。「神は細部に宿る」などと言うのとちょっと違うかもしれないが、さらった子供を持て余して追い詰められたショーケンの、小銭のなくなる描写は見事。人を追い詰める神(あるいは悪魔)って、こういう下世話で俗な所から攻めてくるものなんだよなあ、と思う。
この犯人の焦燥と、鏡のように同様に焦燥している被害者両親の、双方の不幸を見事に描いたこの映画、「報道」をその描写ごと取り払って『誘拐』として再編集したら、より良いと思う。