1.ジョージ・ルーカスの長編処女作。学生時代に撮った作品のリメイクである。未来の機械管理社会が舞台。人は薬を投与され“愛”の気持ちを失っていた。THXはそんな冷徹な管理社会への反抗児。彼の自由への疾走。疾走途中でLUHがもう自分と一緒にいた時の姿でないと知った時、彼の顔に哀しみの表情が浮かぶ。基本的に映像は“白”この色彩感覚はキューブリック映画を彷彿させる。1971年。すでに「2001年宇宙の旅」が公開されているがこの映画は学生映画のリメイクという事なのでそれ以前にこの“白”の色彩感覚が確立されていたならば、それは凄いことである。しかも低予算ということを逆手に取っているのだから。全体的に“感情”“葛藤”などがなく単調な感じになっていることは否めない。しかし設定上仕方ないことである。もっとも僕は十分楽しめたが。ラストシーン、“白”ばかりの世界に夕日が映し出される。映画史に残っても良い素晴らしいシーンだと思う。この映画を処女作として撮ったルーカスはやはり凄い。