5.《ネタバレ》 うん、古典的SFホラーの超名作ですね、コレ!
こんなにももどかしく悲しい話があろうか?
スプラッター色の強い「ザ・フライ」も好きだけど、この作品には深い悲壮感、メランコリックな感じがあって好き。
自分が死んでも、なお自分の身体の一部が蝿として生き続きているというのはどういう気持ちだろうか。
館などの、優雅でとても品がある感じが良い。
理想的な家族の平和な生活が描かれているので、それが徐々に崩壊してゆくのはとても残酷なことである。
でも家の中の明るくて平和な感じと、地下室の研究所の暗く怪しい感じはまったく別の空間になっていて面白い。
この忌々しい出来事も、地下の研究所(裏世界)から生まれて、平和な日常(表世界)をどんどん侵食してゆく、そういうのが面白いと僕は思います。
おそらく「猫」を転送したあたりから、全てがどんどん変になって行くように思うのです。
奥さんが「やめて!放っといて」って言ってるのに看護婦がやめないのがムカついた。
子供が「変わった蝿を捕まえたよ!」と、この母親は全くそれを見ようともせずに決め付けて「ダメよ、逃がしてあげなさい」と、
これが僕には怒りが収まりません!
せっかく父親を救う重大なキッカケを見つけた子に対して、母親は「泥だらけにして!」と叱り付けるのです。
(それで後になってから「あれを見つけるのよ!」なんてね。)
「もどかしい!」
子供の話に親はちゃんと関心を持ってあげようというメッセージなのかもしれません。
あぁ、猫ちゃん、、、!猫の声が印象的だったなあ、どこか遠く、この世の果てから聞こえてくるようで、悲しいような怖いような。
マイケルは黒い布を頭に被っているけど怖いね。
どうどん性格が凶暴になってゆく様も見事に表現されている。
何度観ても布を取った場面はショッキング!
全てを壊し、自分の存在を自ら消すアンドレの悲しみはどれほどだろうか?
転送したシャンパンが普通のシャンパンよりも美味しく感じるのは、なんだか分かるような気がします。
兄フランソワがかっこよかった。
なぜかこの作品の雰囲気に、飾ってあるモディリアニの絵画がよく合っているように感じた。
《これがカラーで、続編が何でモノクロなの!?》