4.《ネタバレ》 鑑賞にこんなに体力を使ったのは初めて。
この作品に限らず、“夜中の会話”って、絶対に何かあるから怖い。
ベルイマンの映画はまだ片手で数えられるくらいしか観てませんが、この人はじわじわと少しずつ滲み出るように恐怖感を与えることに特異な才能を持っているに違いありません。
寝ている最中に顔を触られる悪夢に叫びを上げ、落ち着きを取り戻したところで「ママの事好き?」と尋ねる母親。それに対し「愛してるわ」と答える娘。
何気ない会話ですが、少し離れて座る娘が取ったこの距離感に、ただならぬ不穏な空気を感じました。その後の展開は観た人ならお分かりでしょうし、そこいらのホラー映画よりも100倍は怖いあのシーンを振り返るだけで背筋が凍る思いが呼び起される気がするのです。
ラスト、母親に向けて再度手紙を綴る娘に対し、別の男に寄り添い安堵の表情を浮かべる母親。二人の縮まらない距離。
娘が歩く墓地の後ろに広がる湖の黒さが印象的。