9.《ネタバレ》 日本の戦争映画の中で、最高だと思います。
まず、マクロ的な視点で当時の日本の立場、なぜ戦争をしなければならなかったか、そして全体の戦略の中で旅順がどういう意味を持っていたかを描き、なおかつ大本営、満州軍、第三軍のそれぞれの立場を書き、誤りは誤りとしっかり描いているのが秀逸です。(自分は今まで乃木さんを一方的に批判する史観に立っていたので、今回じっくり見て大本営にも落ち度があるのがよくわかりました。)
そしてミクロな視点は、洋画の戦争映画にありがちな盛りだくさんのエピソードを描くのではなく、一つの小隊に視点を絞って、その小隊長と四人の新兵達をじっくり描きこむことによって、命の尊さ、それを簡単に奪っていく戦争の惨さ、そして周りの人にまであたえる苦しみが、ものすごくはっきり表現されてました。
人殺しは嫌だから戦争は嫌とか、世界の人と仲良くすればいいなんてことを言うのは、簡単ですけど、恐らく人類の歴史が続く限り、戦争というものはなくならないと思います。だったら、戦争というものにどう向き合うべきか、あるいは悲惨さを少しでも軽減する手段はないのか?
そういったことをじっくり考えさせてくれる映画です。
今は亡き夏目雅子さんの美貌に+1 最後に「美しいロシア」と書きかけて、どうしても書けないシーンは泣けました。
DVDを購入したのを機会に再見。ものすごく真面目で誠実な人が無能さのゆえに批難にさらされ、後悔に苦しむ姿は悲しいなあ。
それでも国家の運命を握り、なおかつ時には大勢の兵士の命を虫けらのようにすりつぶさなければならない軍人にはこれくらいの厳しさを求めるべきだと思う。
立場は全然違うけど山本五十六に児玉源太郎のような厳しさがあったらと考えずにはいられない