5.《ネタバレ》 原作をほぼ忠実に再現。製作者は原作の意図をよく理解し、そつなく仕上げている。主人公ゲルダが女性で、関わる人物も女性が中心。魔法使いの女、城の王女、盗賊の女、盗賊の女の娘、北方の女、更に北方の女、雪の女王。「女性のもつ内なる力」が主題である。原作では更に北方の女が、カイは雪の女王の囚人になっていることを教える。トナカイが、この娘に力を与えてくれ頼むと「この娘に生まれついて持っている力よりも大きな力を授けることはできない。力を得ようとしても無理。それはあの娘の心の中にある。ごらん、どんなにして、色々と人間や動物が、あの娘のためにしてやっているか、どんなにして、裸足のくせに、あの娘がよくもこんな遠くまでやって来られたか」と諭す。無欲の愛こそが何物にも勝るということだが、それはゲルダ一人に依るものではなく、彼女を助ける女性も分担している。雪の女王の心を溶かしたのは、女性陣の愛のリレーの結晶だといえる。敵役も女であるが故に愛にはもろいのだ。女性賛美のメッセージが込められているといってさし支えない。重要アイテムは靴。靴は「子供、保護」の象徴。ゲルダがおろしたての赤い靴を川に捧げたことで、船が動きだし、冒険の旅が始まった。ゲルダがカイを真摯に心配し、甘えた子供心を捨て去ったことが奇跡を呼んだのだ。途中、城の王女から長靴をもらうが、最終旅では裸足になる。厳しい環境に身をおいてこそ、真の心の成長があるのだ。ゲルダが靴を脱がなければ、カイの目と心の中に入った氷を溶かすことはできなかったし、雪の女王と対決もできなかった。雪の女王はあっけなく溶け去ってしまうが、それは二人の無欲の愛に打たれたから。だが、少しあっさりしすぎていないか?原作では、「氷の板で永遠の文字を作る」という最終試練があるのにそれを省いている。その代わりに原作ではさらりと流している、盗賊の女の娘が悔悛しゲルダを助ける場面をこまやかに描く。ここが最も涙を誘う。この娘は、「子供版雪の女王」だ。このように全体としてバランスがよい。原作では、二人が町に帰還したとき、心は子供のままだが大人の姿になっていた。子供心を捨て去った代償である。後に「風の谷ナウシカ」「千と千尋の神隠し」を制作した宮崎駿氏がこの映画に感銘を受けたと伝えられているが十分にうなずける事だ。案内役を夢の神のおじいさんがするが、これは不要だろう。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-07-06 17:31:27) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 美しい絵。吹雪に揺れる少女の髪は、CGで一本一本丁寧に作られた髪の毛でさえ及ばない。主人公のゲルダを始め、雪の女王のキャラクターの表情や顔立ちなど、現在の日本アニメにも共通しているところがあるような気がします。そういう意味でやっぱり影響力の強い作品だったのでしょうか。「川さん、カイの居場所に連れて行って」「扉さん、道を開けて」と、こんな少女から頼まれたんじゃ断れないよ~。でもそれじゃあ結局彼女自身は何もしていないじゃないか。と言われそうですが、愛する者を助けるために一人見知らぬ土地へと飛び込んで行くというだけで、既に彼女も立派に戦っているのだと思います。最後に元来た道をそのまま戻るというのも面白いですね、普通のアニメならそこで省略されて終わりでしょう。 【かんたーた】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2005-06-01 12:42:45) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ゲルダのカイへの一途さ、愛の深さ、強さがよく伝わってくる。見ているだけで何とかしてやりたくなります。ゲルダが出逢う山賊やらその娘やら老婆に沢山の動物、何だかディズニーのアニメを意識しているようにも感じられる。アメリカに対するソ連の意識、ソ連映画にだってアメリカに負けない凄い作品があるんだぞというようなものが感じられる。「カイは離さない」と力強い台詞を吐くゲルダの前に立ちはだかろうとして解ける雪の王女と冷たくされていたカイが氷を離す瞬間の映像などこの作品はアニメであるからこその美しい映像の世界によって描かれていると言っていいぐらい本当に映像が美しい。おそらく今ならどの場面もCGで描こうとするだろうけど、この映画はCGでは表現出来ない人の気持ち、優しさというものをきちんと描いている。確かに迫力のある映像では現代の映画には勝てないが、中身では完全に勝っている。古い作品だからって侮れない。むしろ、何でもかんでもCGに頼ろうとする昨今の映像作家、監督にこの作品を観て何かを感じ取って欲しい。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-12-12 21:32:28) |
2.本当は昔見た実写版の雪の女王を探していて、アニメーションのこれに行き着きました。アニメ版のは見たのが初めてなんだけど、とっても懐かしいような・・。ディズニーとは待たし違う絵のタッチ、でもとっても綺麗で・・。とっても良かったです。 【ネフェルタリ】さん [DVD(吹替)] 8点(2005-11-21 02:34:25) |
1.昔、小学校の門前でおじさんがこの映画のタダ券を配っていた。で、町の公民館で見たのが、もう、30年以上前…。それでも、しっかりと覚えていたのは、子供ごころにも「感動」したからでしょう。幼なじみの男の子を雪の女王に連れていかれた女の子が、女王の住む山まで苦難の旅を続けるという、その旅の部分が本当に波乱万丈で、興味しんしんで。そう言えば、同じ頃、やはりタダ券で公民館にて見たのが『太陽の王子・ホルスの大冒険』。何か似ていると、ガキだった当時にも思った記憶があるけど、本当にこのソ連製アニメの影響を受けていたとは(↓【あつむ】さんのご指摘のおかげで、いろいろすっきりしました。ありがとうございます!)。ひょっとして、あの校門前のおじさんは宮崎駿だったのでは…まさかね。 【やましんの巻】さん 8点(2003-07-14 18:18:50) |