5.主人公をはじめとする男たちの欲望ゆえに輝き、犠牲となった女を描くのに、マンキーウィッツ監督がとった回想形式は最上のものだったとぼくは思います。その視点からしか、エヴァ・ガードナー扮するヒロインのミステリアスな魅力は表現し得なかった。何故なら、彼女の魅力とは、彼女自身のものではなく、あくまで男たちによって夢見られ与えられたものだから。彼女の死は、そういった男たちの夢=欲望によって押しつぶされた悲劇にほかならない。それを冒頭の雨の葬式場面で鮮やかに予告する語り口は、やはりお見事というべきでしょう。 【やましんの巻】さん 8点(2003-08-04 13:34:10) (良:1票) |
4.何と言っても伯爵夫人のエヴァ・ガードナーがすばらしい。大柄で彫りの深いエキゾチックな容姿は美しく、この映画ではトップダンサー、ハリウッド女優、そして伯爵夫人と観衆を引きつける。物怖じせず威厳に満ちた振る舞いは、周囲の男性陣、ロッサノ・ブラッツィにしてもハンフリー・ボガートにしてもかすんでしまうほど。回想形式で語られる物語もすばらしく、映画と現実の世界を錯綜させ情熱を感じる。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-31 08:06:47) |
3.《ネタバレ》 人間にとっての欲とは金に対する欲、更には食に対する欲、そして、愛に対する欲、この映画では愛に飢える者同士の欲が描かれている。成功を夢見て男にしがみ付く女、そんな女に近寄ってくる男の欲望、お互いが相手を利用してのし上がろうとする。踊り子のマリア(エヴァ・カードナー)が映画監督であるハリー(ハンフリー・ボガード)との出会いによって人生が変わる。長い間、探し求めていた理想、夢、夢と現実とのギャップの違い、叶ったと思った夢も思い描いていた理想とは大きな違いによりどんどんと悲劇のヒロインへとなってしまう彼女、マリーの姿に夢はやはり夢であり、現実とはそんな簡単なものではないと言っているようであり、そこにこそ人間の持つ哀しみ、現実の厳しさ、監督の見つめる視線の何とも惨酷なことといったらない。あの墓場でのシーンでのハリーの姿、表情には何だかとても人生に対する厳しさと皮肉のようなものを感じる冷たい眼差し、この映画は一人のヒロインの死によって夢と理想との違いを見せ付けられているような何とも惨酷な人間ドラマとして見応え十分!回想シーンの使い方もなかなか上手く、そして、何よりもテクニカラーによる美しい映像が人生は惨酷だけど、美しい。いや、美しいけれども惨酷とでも言ってるようにも感じてしまう。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-01-06 21:27:01) |
2.《ネタバレ》 マンキウィッツ監督のこの回想形式、しかも複数の男によって語り継がれ、ストーリーが繋がっていくこの妙技。冒頭のシーンよりボギーの第六感さながらに不安感を観るものに与え、ラストまでその不安が途切れることは無かった。僕自身もマリアをずっと不安を感じながら見つめ続けずにはおられなかった、まさにエヴァ・ガードナーはまり役。それにしても気が触れたような濃い登場人物をきっちり描き分けられており、ボギーが比較的というか唯一まともな人間だということだけでも、この映画がいかに濃い作品か、そして生命力に満ち溢れたヤバイ作品であるかということを物語っている。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-02-05 00:38:34) |
1.ボガートとガードナーの関係が、素晴らしく良く描かれていました。劇中で本人が語っていたとおり、不思議な友情と愛情で結ばれています。ガードナーはハマリ役ですね。彼女の映画はこれ以外に見たことがないのですが、おそらくベストの演技でしょう。 【shoukan】さん [地上波(字幕)] 8点(2006-12-30 23:30:55) |