13.《ネタバレ》 物語がどう収束に向かうのか予断を許さない展開の中で挿入された「縮む男」のサイレント映画の描写には笑った。「これってわいせつ物陳列罪に触れないの」。だが最後まで見通すとこのサイレントをベニグノが見たことが、彼のインモラルな行為につながるのだと納得した。ベニグノは彼女を見染めて以来、憧れの対象とはしていても、性的欲望の対象には見ていなかった。というより、ベニグノに性的な欲望は存在していなかった。それが「縮む男」をみたことによって、憧れの究極の行為として体の中に入るという形を知り、それを実行したことが、彼女への性行為となった。だがそれが性的欲望の行為とは違うということを明示するためにも、劇中劇「縮む男」の性描写は、即物的な行為ではなく、縮んだ男が女性器に入り込むというコミカルなテイストのものでないといけなかったのだろう。 ベニグノの強姦に眉をひそめた人も多いようだが、それは暗示的行為であって、その点に拘泥すると、映画本来の意味や価値を見失ってしまうのではないかと思う。 【satoshi】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-06-07 22:05:07) (良:1票) |
12.ペニグノの現実世界での行為を暗示させるサイレント映画「縮みゆく恋人」は(いろんな意味で)脱帽です。女性の性器が出た瞬間、ぶっ飛びました!アルモドバルという新惑星を見つけて戻って来たような気分です。スクリーンだったら、トラウマになっていたかもしれません。確かに、“挿入” してました。・・・・・本作は「愛とはなにか?」 というナンセンスな問いに対し、アルモドバルが自問自答しているのかもしれません。思考は深いです。深すぎるゆえに嫌悪感を覚えます。しかしそれでも、作風は誠実なので賛美を送ります。 【ダージン】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-09-27 06:20:45) (良:1票) |
11.意識不明の女を犯すこと、その是非を論点とせず、ただただその全てを否定も肯定もしない中立的なその目線が素晴らしいと思った。全編を包む、生々しく熱を帯びながらもどこか醒めた静謐な空気。何ともスペイン的で熱く情熱的な、しかし同時にアルモドバル的な、卑俗と高尚が同じ輪の中にあるという混沌。「村上春樹がスペイン人だったらこういう作品を書いただろう」と言った人がいた。的確だと思う。目線が異質なまでに客観的なのだ。性犯罪に関して、私はかなり厳しい目線を持つ人間だけれど、そんな私でも不思議とこの作品には欠片ほどの嫌悪感も拒否感も抱かなかった。印象的な、崇高で美しい物語だった。 【ひのと】さん 8点(2004-06-20 20:55:58) (良:1票) |
10.「オール・アバウト・マイ・マザー」で驚かされたアルモドバルだったけど、この映画はもっと強烈、衝撃的だった。いつもながらついていけない部分は多々あるのだけど、美しい映像とすばらしい音楽が独特の雰囲気を作り出し、甘美なそして切ない世界へと引きずり込む。この際、ベニグノがとった行為についてどうこう言うのはよそう。それを遙かに上回る愛の深さを感じた。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-06-08 16:04:25) |
9.至高の愛情を注ぐと同時に最低の変態行為が共存してしまっていて、もうなんて言ったらわからないモゾモゾ感に悩まされる。女性からしたら気持ち悪いこと、この上ないんではなかろうか。劇中劇が強烈で、うなされそう。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-05-09 23:02:40) |
8.《ネタバレ》 何かもうベニグマ役の俳優になぜか分からないけどすごい感情移入できて…、結局ベニグマはホモなのか?というのが気がかりなのですが、マルコが遺言を読むところでは声を上げるほど大号泣してしまいました。素晴らしいセリフもたくさんあります。ここ一番のおススメ映画です!見る人によってかなり好き嫌い分かれると思うけど… |
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7.《ネタバレ》 この作品結構好き。下でダージンさんが言ってるように、サイレンと映画の女性の性器が見えた瞬間ぶっ飛びましたよ…汗。アリシアをレイプするのとか、なんで?って思ったけど、ベニグノはアリシアを愛しすぎておかしくなっちゃってたのかな。ベニグノが亡くなった時、アリシアが目覚めても4年間ベニグノがしてきた事がアリシアに伝えられなかったのが凄く哀しかった。でも、あの最後の終わり方私は良いと思う。 【アンナ】さん 8点(2004-11-24 19:22:29) |
6.2004-10-30 に「ストーカーが嫌いな人たちは観ないほうがいいと思う。 ←この作品に嫌悪感を感じて5点にしてしまったけど、観てから一週間たってもこの映画のことを考えてしまう。」と投稿。その後(2012年)、視聴したことを忘れて再視聴。夫に逃げられた今では、登場人物たちの喪失感や相手を求める強い気持ちが痛いほどわかる。号泣!ベニグノは気持ち悪くなんかないです。孤独で、弱いだけなんです(号泣)! 【paraben】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-10-30 11:40:34) |
5.見たすぐ後には嫌悪感よりとにかく美しい余韻が残ってた。あとでよく考えると虫唾が走る。でも、やっぱり美しかった。 【ネフェルタリ】さん 8点(2004-09-01 19:39:01) |
4.好きな感じの映画。心のどこか片隅にある感情。孤独・皮肉・悲劇・利己の筋だった部分。その醜さと美しさ。 どこかに哀愁があって、どこかにある優しい気持。 言葉では上手く表現出来ない愛というものが、とても表現出来ている作品だと感じました。 【風太郎】さん 8点(2004-05-19 17:17:47) |
3.重い、重く切ない色々な愛の形が見えます。とても精神的な映画。 【Andy17】さん 8点(2004-05-06 13:14:30) |
2.すごく難しいがすごく面白い。法律的にも倫理的にも社会的にも非である事は間違いないんでしょう。私の中でも是か非かでいえば99%非なんですが、この1%の是が重いなあ。植物で過ごすべきか、人間に戻すべきか、もし方法が一つしか無いのであれば是と認めざるを得ないかもしれない。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2004-04-24 19:44:33) |
1.ストーカーを礼賛するわけではないですが、私には、とてもかっこよくて素敵な映画でした。これだけ嫌悪感を催しそうな哀しくて強烈なテーマを、これだけ静かにきれいで感動的に描けるという、作り手の人間や映画への愛情(というと陳腐ですが)がすごいと思いました。映画中で引用されているダンスや歌も素敵だったです。 【xr4000】さん 8点(2004-03-14 18:09:42) |