3.《ネタバレ》 確かに小津らしからぬ作品という印象を受けます。
何と言っても田中絹代さんの演技が素晴らしいですね。
色んな表情が自然に出ていて。
印象的な部分は、絹代さんが体を売る直前のシーンですね。
鏡にうつった絹代さんと実際の絹代さんを交互に映して葛藤を表しているんだと思いますが、内面の声が聞こえてくるような田中絹代さんの入り込み具合が素晴らしいです。
そしてそのシーンの直後に枕と布団、タバコのカット、その次の麻雀での下品な会話で情事があったことがわかるという、無駄のない上手いやり方だと思います。
小津モンタージュとでも言うんですか。今の作家だったらそこら辺はもろに描写するんでしょう…。時代背景が生んだ名シーンかもしれません。
佐野周二さんも、かなり今風な髪型してらしていいです。
ニコニコしているだけのおぼっちゃまキャラよりこっちの方がずっと好きです。