3.いやー、凄い、とても良いお話だった。
小津の巧さもとことん冴え渡り、そして江戸っ子風情がビンビンに伝わってくる、まさに傑作!
小津のサイレントの中ではナンバー1かも。
若い女を演じた伏見信子が、これまた良かった。
現代日本では絶滅したであろう、本物の“古風で純情可憐な”女性なのだ。
そういった女性を実写にしたら、まさしくこれ、みたいな感じの女性。
それがこの伏見信子であろう。
そして飯田蝶子。
本作の時点では36歳のはずなのだが、何故だかおばあさんに見える!
「あの飯田蝶子の若かりし頃を見れる!」と意気込んで観てたのに、結局見れなかった。
いやはや、飯田蝶子にはやられました。
みなさん、「音が聞こえてきそうなサイレント」と本作を評していらっしゃいますが、まさにその通り。
サイレント作品は相当数観たが、本作ほど「音が聞こえてきそう」なサイレントは観たことがない。
つまり、本作は完成されたサイレント作品なのだ。
小津はやっぱり凄かった。