8.《ネタバレ》 湾岸戦争を扱った作品といえば他に「ジャーヘッド」ぐらいしかなく(「戦火の勇気」「クライシス・オブ・アメリカ」は直近の戦争を舞台にしたらたまたま湾岸戦争になっただけの作品)、それほど扱いに困る題材なのでしょうが、本作はこの「戦争映画にしづらい戦争」をうまく料理しています。序盤はコメディを装っていて変化球の映画なのかと思いきや、作り手の主張は大マジメ、あの戦争の本質を暴いてやろうという実に本気で志の高い映画でした(撮影に本物の死体を使って問題になったほど)。「戦争は悲惨なんですよ!」と客の首を絞めて感動させるような古臭い形はとらず、自然に受け入れらるよう知的に作り上げた結果がこの形だったのでしょう。兵士同士の殺し合いがなく当時は「クリーンな戦争」と称されたものの、その裏側では空爆によってイラクの一般市民が大勢死んでいたこと、フセインに武器を与えたのはアメリカだったこと、反フセイン勢力の蜂起を煽りながらこれを見捨てたこと、従軍したアメリカ兵には貧しく教養もない者が多かったことなど、アメリカにとっては耳が痛く、また興味深くもある事実がこれでもかと詰め込まれていますが、オリバー・ストーン作品のような主義主張の発表会にはなっていないのが好印象です。金塊を奪いにやってきたアメリカ兵をイラク軍が進んで手伝うというシュールな場面は、金銭よりもまず反政府勢力を押さえることが先決だった当時のイラクの状況、及び金銭的な利益が確保されれば目の前の惨劇には目をつむるというアメリカ外交を面白い形で示しています。自由だ正義だと言って他国に乗り込みながら、結局は金の問題であることの多いアメリカ外交ですが、「困ってる国は山ほどあるのに、なぜアメリカはクウェートだけを助けるんだ?」というイラク将校の言葉でこの欺瞞が丸裸にされてしまうわけです。最後の最後で主人公達の前に立ちはだかるのもアメリカという国であり、また土壇場で人道に目覚めてアメリカが難民たちを助けるという甘い展開もなく、結局金塊の威光でハッピーエンドを買うというオチのつけ方もよかったです。この知的な脚本をベースに、いざとなれば見応えのあるアクションが挿入されるのですから、これはなかなか満足度の高い作品でした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-08-20 21:18:16) |
7.《ネタバレ》 結構楽しかった!!スパイク無念・・・ 【ゲソ】さん 8点(2004-06-04 02:18:14) |
6.個人的にかなり◎。湾岸戦争自体が一部異質な戦争だったので、それをダラっと描いたらこんな感じになるんだろうと思った。物語は作風に合ってるし小道具や映像効果もかなり高評価の秀作一等賞。 【すか/わー】さん 8点(2003-02-20 00:23:10) |
5.期待せずに観た。よかった。「スマッシュ・ヒット」だった。むやみに殺し合いをしないところが、逆にリアルに思えた。期待せずに観てみて。軽いノリだが、実は深いよ。 |
【DD】さん 8点(2001-06-03 12:15:04) |
3.概ね不評だが、個人的にはロバート・アルトマンのMASHと並べて評価すべき傑作戦争映画だと思う。多くの戦争映画が反戦を描いているようでありつつ、実は戦争を通して主人公が成長していったり、一方の当事者国サイドの視点しか盛り込んでなかったりするなか、本作はユーモラスを交えつつ締めるところはリリと引き締め、イラン、イラク、アメリカを等価に近い視点で作品を描いている。これは映画製作の前、実際に現地に訪れ、入念な下調べをしたらしいスタッフの尽力によるものだと思う。でも、僕が一番印象にのこったのは、唐突に弾丸が内臓を貫くようなシーンを大胆にも挿入してしまうラッセル監督の映像センス。スパイク・ジョーンズあたりとともに近い将来、次代のハリウッドの中枢を担う人材だと思う。 【ダイ】さん 8点(2001-06-02 23:01:17) |
2.湾岸戦争の時事的テーマを盛り込んでる為、当時の情勢を知っていればかなり面白いはず。ただ個人的には“最後までドタバタWARコメディでも良かったのでは?”と思った。けど映像も音楽もスタイリッシュでブラックなユーモアにも思わずニヤリとさせられた、意外とリアルでダークホース的存在な戦争映画だった。 【びでおや】さん 8点(2000-08-17 04:36:30) |
1.ちょっと風変わりな戦争アクションーそれだけじゃない 戦争の矛盾や弱者の悲しみもきっちり描ききって、ラストは感動もの。 【ドラえもん】さん 8点(2000-04-14 23:01:15) |