26.《ネタバレ》 『素晴らしき哉、人生!』のフランク・キャプラ監督ということで期待して見た。
毛布一枚をジェリコの壁に見立てたエピソードがオシャレに効いている。
ラッパの音でジェリコの壁が崩れるラストもお見事。
モノクロの古い映画なのに、今見てもおもしろい。
強く反発しながら意地っ張りな二人が最後は結ばれるという極めてオーソドックスなパターン。
今でもこれに倣ったような映画やドラマは数多いので、ラブコメの元祖のような存在。
同じ古典の名作ラブストーリーとして『ローマの休日』が思い浮かぶ。
主人公が新聞記者で、ヒロインが身分違い(王女と大金持ちの娘)というのも共通点。
ただ、ヒロインがまったく違うキャラで、こちらはわがままなジャジャ馬娘。
容姿もオードリー・ヘプバーンとは違って全然かわいいとは思えなくて…。
それでもだんだんそれなりに見えてくるのが不思議。
なんでも金で解決しようとする父親もどうかと思っていたが、娘を思いやる気持ちにはほだされる。
父親もそうだが、嫌な編集長も終盤では粋なところ見せる。
映画も粋そのもので、ユーモアとウィットに富んでいる。
ヒッチハイクの場面もそうで、ここはとても好きなシーン。
クラーク・ゲーブルってレット・バトラーのイメージが強すぎたけど、こういうコミカルな演技もいい。
唯一気の毒すぎるのはヒロインに振り回されて結婚式から逃げ出される花婿かと思えば、金ですんなり解決したことから本当の愛情はなかったことがうかがえる。
すべて丸く収まった感じは予定調和でできすぎともいえるが、後味がよくて温かい気持ちになれる。