8.190cmの長身を誇るJ・スチュワートが見上げる高さの巨大ウサギ、ハーヴェイ。エルウッド(スチュワート)の大親友で常に一緒に行動しているハーヴェイにはある問題があった。そこに存在していても他人には見えないし、触ることもできないのだ。それにも関わらずエルウッドは、ハーヴェイを誰かれ構わず出会う人に紹介しては、人々に気味悪がられる。ハーヴェイはいたずらな妖精で、時間と空間を支配することができるらしい。ジェントルなエルウッドは、着座するときもまずはハーヴェイにイスをすすめ、ドアを開けては先に通してあげる。そりゃあ、ハーヴェイが見えない周りの人は気持ち悪いかもしれないが、実際そこにいるんだからしょうがないのだ。エルウッドのマイペースさ、無垢で親切な心に、ふんわり心温まる一方で、大騒ぎをする周りの人々の言動が軽いコメディタッチで描かれている。(ちょいと毒のあるところもあるけれどね)もし、私がエルウッドの姉だったとして、弟がハーヴェイと大の仲良しになったらどうするだろう?私に良識があるなら、「人には見えないから言動を注意するように」忠告するかもしれないが、それではハーヴェイに対して失礼だ。なるべくハーヴェイを歓迎できるような心の余裕を持っていたいなぁ~と、なんとなく考えてしまった。まずはマティーニを2つ用意するところからはじめたいと思う。 【元みかん】さん 8点(2003-11-10 05:52:57) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 巨大なウサギを架空の友達として暮らす中年男性のエルウッド。「全てにおいて恵まれていたのに、ハーヴェイによって何もかも失った」という家族の言葉を聞いて、初めはちょっぴり気の毒な人なんだなと思っていたのですがそんな考えはすぐに吹っ飛びました。あまりにも幸せそうなエルウッドの姿を見て、本人が良いなら別にそれでも良いじゃないか、と。見た目からすぐに変人だと決め付けないで、周りの人たちもそれぐらいの寛容を持って接してあげることが必要なのですね。まぁ振り回される方の身にもなれ~!って話ですけどね(^^;。ハーヴェイが現れたのは決してエルウッドが現実に対して心を閉ざしてしまったからではなく、もともとそういう妖精だったというのが実にイイ感じです。それにしてもこの映画には尽く予想を裏切られます。最後にエルウッドに注射して現実的な終わりを迎えるのかと思えばそうではなく、その後さらにエルウッドがハーヴェイと別れるのかと思うとやはりそうではない。あくまでファンタジーを貫いてくれる物語の姿勢が素敵です。そして終了後のスタッフクレジットにもちゃんと"HARVEY=Himself"と表記してくれるところにこの映画の良質さを感じます。 【かんたーた】さん 8点(2004-09-08 16:22:08) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 人は大きくなる(歳を取ると)に連れて、物事に対して疑ってみたり、信用しなくなったりとそういうものをこの映画では大人になっても子供の気持ち、純粋に物事をとらえよう、例え他の人には見えなくても自分には見えるんだという主人公の姿がそれを物語っている。自分と同じように大きなうさぎのハーヴェイを見せることなく想像させてくれるという映画ならではの想像する力をこの映画を観ていると感じさせられる。ジェームズ・スチュウートの純粋さ、そんな気持ちを考えずに精神的におかしくなっていると医者に見せようとする姉、それでも絶対に自分の気持ちというものを正直に表そうとする主人公、ジェームズ・スチュワートの演技というよりもまるで人柄そのもののような表情から滲み出る人間的魅力で楽しませてくる映画だ。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-18 11:33:40) |
5.ジェームズ・スチュワートのパントマイム的な演技が凄い。目に見えないハーヴェイと共演するなんて!!(笑)日本だったら確実に精神病棟送りにされると思うんだけどそこはアリメカ、心が広いですねぇ。誰にでも優しくして誰にでも家に来て飯食おうと言ったり純粋さを顔に出すのは難しいと思う役柄を演じた彼はほんと立派。見てるだけで幸せになれるし、ラストに見せる哀愁さと微笑みの顔がたまらんです。 |
4.《ネタバレ》 ジェームス・スチュワートと言えば、「素晴らしき哉、人生!」で町中の皆から愛される役を演じていましたが、この作品では一転して、アル中気味で周りには見えない巨大ウサギ(ハーヴェイ)といつも行動しているちょっと変わった中年男を演じています。 まあ、ハーヴェイの姿は我々にも見えてないのでジェームス・スチュワートの演技は非常にアヤしいです。そりゃ、42まで独身で酒場に入り浸り、しまいにウサギと会話をしていたら身内も精神病院につれて行こうと思いますよね(まあ、姉の方が逆に病室に入れられてしまうところは笑えましたが・・・・・)。でも、最後は、姉が弟を思う気持ちがとても伝わってきました。 ただ、ハーヴェイは幻想では無く、奇人変人には見える妖精なんだなと思いました。だから、チャムリーには姿が見えてましたし(ただ酔っ払ってただけかもしれませんが)や姉と姪のハーヴェイに対する見方も微妙に違っていたように思えました。姪は完全に幻想だと思っているのに対し姉の方は姿は見えていて、存在は認識しているものの巨大ウサギがいつも家の中にいることに嫌悪感を抱いている感じがしました。(ウィルソンにも辞書の文字を通して挨拶してましたし。) ちなみにハーヴェイの姿は、途中で出てくる肖像画でしか出てきません。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-06-03 20:39:39) |
3.《ネタバレ》 まぁとにかくみんなよくしゃべるしゃべる!!弾丸トークのオンパレードってヤツ。ちょっと疲れましたが、それでも面白かったです!スチュアートの魅力満載でしたvvほんとハマり役。あとハーヴェイの姿が、油絵の中でしか見られないっていうのがよかったです。最後まで我々視聴者には姿は見えなかったけれど、あああんなカンジのウサギがスチュアートとマティーニを飲んでるんだなぁって想像出来ました。下でもどなたか書いていたけれど、あの最後のスチュアートの表情、イイですね……。あの表情に全てが凝縮されていると思います。 【Ronny】さん 8点(2005-03-12 00:44:06) |
2.郵便配達人に名刺を渡そうとし受け取った速達を破り棄ててしまう冒頭から、ジェームズ・スチュワート演じるエルウッドの風変わりな人物像が描かれ、見ている者は後に登場するハーヴェイの<見える><見えない>の危うい皮膜をよたよた歩くことを予感させられます。エルウッドが会う人間会う人間に名刺を渡す行為は、名刺=名前とすると「名前」に対するこだわりが見えてくるのですが、自らの名前を誰彼に覚えてもらうこと、相手の名前を呼ぶことで自分と周りの人間との垣根を取っ払うシルシとなっているのではないかな~と。そして自らが常に親しみを込めて名前を呼ぶ象徴が「ハーヴェイ」であり、あの巨大なウサギが飛び越えていたのは、時間と空間と物質だけではなく、人と人との垣根、常識と非常識との垣根、現実と幻想との垣根でもあったりして、そう感じると、ハーヴェイがピョンピョンとしたウサギであることの必然性が見えてきて、人間が生み出すボーダーというのは、実に脆く不確かなものであることが語られているようで、私は以来ハーヴェイを偶像崇拝させていただいているのであります。 【彦馬】さん 8点(2005-02-03 12:16:20) |
1.これ好き好き好き!すげー好きな映画!J・スチュアート以外この役は考えられないって程のはまり役。元は舞台劇だったらしいが、こういうストーリーを思いついた原作者も素晴らしいと思う。ハーヴェイが見える人と見えない人の区分がよくわからなかったリするけど、(あまりいい人とは思えない精神病院の院長には見えたり、「時たま」見えるとお姉さんは言ったりしてる)どことなく「素晴らしき哉、人生!」に通じるアメリカ人の良い意味での善意みたいなものが伝わってきます。この時期のアメリカって国は本当に自信に満ち溢れてたんですね。ラストシーン、院長にしばらくハーヴェイを預ける事になったスチュアートの寂しげな顔、そして彼が戻ってきた時に浮かべる表情といったらもう・・・、いいよな~。 |