1.《ネタバレ》 第二次世界大戦末期の1944年12月。ドイツ軍最後の反攻作戦"バルジ大作戦”が始まる。たまたまベルギーの連合軍の前線を慰問に訪れていたオーケストラの一団が、それに巻き込まれ、全員が捕虜になってしまう。ドイツ軍の指揮官マクシミリアン・シェルは、ヒトラーのやり方に懐疑的な面を持ち合わせている。ドイツ軍上層部からの命令は、楽団員全員の射殺であるが、彼はそれを一時保留し、彼らにドイツ軍のために演奏をさせることにする。オーケストラの指揮者チャールトン・ヘストンは射殺に猛反発し、なんとかして脱出しようと考えている。そんな中、アメリカ軍兵士が紛れ込んでいることがわかり、彼らをかくまうことにする。やがて、ドイツ軍の作戦が失敗、敗色が濃厚になり、シェルは撤退をすることになる。その時、再び楽団員の処刑が命令されるのだが・・・。 冒頭の慰問のシーン。ベートーベンの「運命」が演奏されます。これは彼らの運命を暗示する場面ですね。捕虜になった彼らに紛れたアメリカ兵が正体がばれそうになったときに、アメリカ国家をトランペットで吹くシーンがあります。結構この映画の中の見せ場のひとつだと思います。音楽という芸術に共通の理解を示すヘストンとシェルですが、非戦闘員と軍人という違いはあれ、結局は敵同士です。彼らの思惑が絡み合い、楽団員全員の命を懸けて、クライマックスの撤退シーンへとドラマは進みます。実際に起こった話ではありませんが、けっこうなリアル感が伝わってきます。ちなみに、この楽団員はすべて楽器には素人だったそうですが、演奏シーンは見事にさまになっています。