2.《ネタバレ》 良くまとまった面白い映画だった。しかしこの重苦しさはいかんともしがたい。見終わった直後、誰かに助けて欲しいような気分になった。若き神父アマロは、神父としても人間としてもまだまだ未熟な存在。出世のための世渡り術にしても、アメリアへの想いにしても、手探りで一歩一歩先に進んでいるような感じだ。ただ、一貫して神父としてのキャリアに執着があり、物語を見守るものを唖然とさせるラストもそれによって引き起こされる。私は、未熟で身勝手なひとりの若者の行動に人間臭さを感じ、「呆れた人だ…」とため息をつきながらも、なぜかあまり腹立たしさを感じなかった。僅かばかりかもしれないが彼の中にきらめく“良心”を、この出来事が一生ギリギリと締め付けるのかな、と思うと少しやるせない気持ちにもなる。不謹慎だろうか?でも大罪を胸深く仕舞いこんで生きていく辛さは、どんな罰より厳しいだろう。最近個人的に注目しているメキシコの風景と流れてくる聖歌の美しさも手伝い、暗い物語ながら一度は見て欲しいと人に勧められる作品だ。