2.皮肉なモンですね、出演したご本人が自分の過去のフィルモグラフィーから抹消したいであろう映画が作品としての評価は一番高いとは・・・。しかし自分がここで褒め称えたいのはこれが監督デビュー作となった澤井信一郎監督の職人的手腕である。当時の松田聖子の凄まじい人気を考えると、どんないい加減な駄作を作ったとしても一応はヒットしたとは思うが、単なるアイドル映画に貶める事なく映画の文法をきちんと踏まえた正統派の演出は素晴しいと思います。澤井監督の今現在に至るまでのご活躍も、これを見ればうなずけます。もう亡くなってずいぶん経つけど、明治生まれの俺のばあちゃんもこれ見て泣いてました。それ以来松田聖子がテレビに出るたんびに「あの民さんがねえ・・・」とニコニコ笑って応援してましたもん。彼女がその後スキャンダル等に巻き込まれる姿を見る事無くばあちゃんは天寿をまっとうして逝きましたが、それはそれでよかったのかなあ・・・なんて考えてしまいます。(追記)澤井監督の演出術の本が出ましたよね。この作品や「Wの悲劇」等を高く評価してる自分は非常に(立ち読みですが)興味深く拝見させて頂きました。