1.《ネタバレ》 コレは意外な程に面白いジョン・スタージェスの佳作アクション。スペンサー・トレイシー扮する初老の男マクリーディがうら寂れた西部の片田舎ブラックロックに途中下車した途端、街中の人間から剥き出しの敵意と冷淡極まる応対で迎えられる導入部で早くもグッと画面に引き込まれる。どうやら街の者全てが何かを隠していて、余所者のマクリーディを早く厄介払いしたいらしい。一体ここで何があったのか?そしてマクリーディの目的と正体は??というミステリアスでサスペンスフルなミラード・カウフマンのシナリオが実に効いている。そして、この街の住人を演じる面子が兎に角、濃ゆーーーーーーい!余りに濃過ぎる!!街のボス、ロバート・ライアンを筆頭にリー・マービン、アーネスト・ボーグナイン、ウォルター・ブレナン、ディーン・ジャガーと、見てるだけでゲップがor鼻血が出そうな濃さ・シブさだ。さて、本作最大のクライマックスは意外や中盤に訪れる。ライアンと対峙したトレイシーが何気ない会話をしながら、いつしかライアンの病的な日本人への差別感情を暴き出す場面。始まりは静かな世間話に過ぎなかったが、「真珠湾」をキー・ワードに徐々にキレ始め、最後にはヒステリックに叫ぶライアンの姿で終わる会話に生まれる”静と動”の鮮やかなコントラスト。いかにも説明的な台詞やナレーション、字幕等に一切頼らず、最低限の会話のみから隠された真相を暗示させる高度な演出は見事だった。度重なるボーグナインの挑発にジッと耐えていたトレイシーが一転してボーグナインを”カラテ”でボコる場面にも矢張り”静と動”の対比が効いているのでカタルシスも一層高まる。昨今の映画はこういう静かな”タメ”の描写をおざなりにして、派手な見せ場(だけ)のパッチワークに成り果てているのが本作を見てもよく分かる。あと、難点は…紅一点アン・フランシス嬢が濃過ぎる面子の中でむっちゃ浮きまくっている(せめてバーバラ・スタンウィック姐御くらいじゃなきゃ弱い弱いw)コトと、オチが呆気なくて寧ろ中盤辺りよりもインパクトが弱いってか弱過ぎなコト。併せて2点マイナス。でもオススメ!