1.《ネタバレ》 この手の任侠映画をちゃんと丸々一本見たのは初めてでしたが、かなり良かったです。
役者さん達の着物の着こなしや台詞の日本語が自然で美しく、見ていて気持ちが良かったです。
任侠映画の必須項目である義理や人情をこれでもかというくらいに全編を通して表現されていますが、教訓としてではないので説教臭くなること無く見ることが出来ました。
女将さんが義理の息子と知りながら接していたことや、駒井から幾太郎を守るために秀治郎が叱責し、更に秀治郎を守るために重吉が飛んで来てぶん殴るシーン等は逆にストレート過ぎて妙な安心感と同時に心に響くものがありました。
駒井が勧進帳の富樫左衛門になる訳が無いのは解っていますが最後まで本当に嫌な奴でした。
諸角さん、良い意味で最悪です。
湿っぽい浪花節の中で長門さんのコメディリリーフ的なひょっとこの松は非常に効果的でした。
12年間位の話ですが急ぐ事無く調度良いテンポで、シンプルですが一つ一つの内容を丁寧に描いていたのでとても見易かったです。
秀治郎が幾太郎に初めて出会ったのも雨、刑期を終え再開したのも雨、警察に連行され離れ離れになるラストのシーンも雨、日本人には『雨』という情景だけで伝える事が出来るものがあると思いました。