10.《ネタバレ》 元ネタについては一切知らず。
どうせクダらない作品だろうとタカを括っていたが、意外にというか相当に楽しめた。
もし、自分が映画を作ることができる立場にいれば、恐らく本作のような「訳の分からない作品」を作っていたのではないかと思えるほどのシンパシーを覚えた。
こういう批判覚悟のメチャクチャな映画を作れるというキリヤに対して羨ましく感じる。
原作ファンやアクション作品を楽しみにしていた観客から批判されるのを覚悟の上で、自分の描きたい世界観をデビュー作から見事に表現できたのではないかと思う。
邦画でもなく、もちろん洋画でもなく、自分独自のオリジナルな作品であり、誰かの人真似ではない作品だ。
そういう意味においても評価したいところだ。
何らかのメッセージを込めようと試行錯誤して辿り着いたものが、レベルが低くて単なる理想論だとしても、何も込めないよりはマシだ。
子どもレベルのメッセージであるが、自分自身それほど難しいことは分からないので、この位の低いレベルだとありがたい。
本作が言いたいことは面倒くさかったので、あまり深く考えないようにして鑑賞してみたが、それでも「憎しみの連鎖」というテーマを上手く表現できていると感じられた。
その辺にある“反戦映画”よりも、本作の方がまだ“反戦”というメッセージがストレートに伝わってくる。
「戦争がどんなものか知らない」「死んではいけない」という分かりやすいセリフの趣旨が上手く映像化されていると思う。
「青臭い理想論」かもしれないが、何を考えて作成されているのか分からない作品が多い中において、本作が目指した“志”は評価できる。
“映像”と“メッセージ”の両立に成功しており、本作の価値は高い。
多くの人に共感を得られるレベルではなかったかもしれないが、自分の理念にチャレンジした男の生き様を感じられる作品だ。