43.80年代の自国を背景にした刑事たちの人間ドラマ。この映画の白眉はなんといってもオープニングとラスト。少年の顔のアップで始まりソン・ガンホの顔のアップで終わる。ひょいとバッタを捕まえる少年と必死になって犯人を捕らえられなかった刑事のコントラスト。ラストの少女の言葉「普通の顔だった」を聞き、ひょいと手が届くところにいる犯人を想うガンホの表情は見ている者に余韻を与える。特に同時代を生きた韓国民にはそうだろう。エンドロールのさわやかな空も、その空の下に潜む普通の顔した犯人を想像するとなんとも不気味な空に映ってしまった。 【彦馬】さん 8点(2004-04-12 21:18:51) (良:3票) |
42.韓国映画には独特の泥臭さ、生々しさがあり、自分には合わないかもという先入観がありました。たまたま観た『オールドボーイ』がまさしくそのイメージどおりで、面白いけど味が濃すぎて胸焼けしました。ところが『僕の彼女を紹介します』『猟奇的な彼女』が自分の中でスマッシュヒット。韓国映画をまた観てみようという気になり、本作鑑賞の運びとなりました。泥臭さ、生々しさはやはり感じましたが、作品が持つ“熱”といった表現のほうが適切だと感じました。そしてこの“熱”こそが、韓国映画最大の魅力。泥臭さ、生々しさはすなわち“人が生きている”ということ。人をこれだけ強烈に描ける作品が面白くないわけがないのです。なかでもソン・ガンホ。彼の人間味の濃さは凄い!さらに本作は演出的にも素晴らしく(とりわけ間の取り方は絶妙)、前述の熱と相まって半端でない緊張感がありました。ラストも味わい深く、この類のストーリーでありがちな消化不良や物足りなさは一切感じませんでした。サスペンスというよりヒューマンドラマ。韓国映画恐るべしです。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-09-05 17:47:52) (良:2票) |
41.まったく性格の違う2人の刑事。最終的にはその性格がほぼ正反対になってしまうほどの消耗、落胆。想像を絶する。雨の夜の雰囲気が、身震いをするほど恐ろしく感じた。これが実話であるとは到底信じられない。いや、信じたくない。 最近韓国映画ばかり見ているのだが、とにかくユーモアとシリアスのさじ加減が抜群に上手い。脚本も素晴らしく、奇をてらった演出も少ない。男優は顔だけでなく演技も伴っている。女優さんはみんな綺麗で可愛いし。凄いぞ韓国。 【赤毛のダニー】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-16 11:02:26) (良:2票) |
40.当時未解決の事件を取り扱っているだけあり、ジトジトとした嫌な後味が残る映画であった。ただ、要所要所での映像の撮り方、カット構成が抜群に上手く、作品に引き込まれていった。田園、クライマックスのトンネルなど、何気ない風景を、物語の展開に合わせて象徴的な風景に仕立て上げる技量には、唸らざるを得なかった。脚本については不満もあるが、映像面に関しては、監督の天才的なセンスをひしひしと感じることができた。 映画の不満点としては、多くの方が指摘するように、やはり脚本面、特に主人公たちの捜査パートが同じことの繰り返しになっており、かなりストレスが溜まる点だろうか。無実の容疑者に固執→拷問で自白を強要→時間を浪費する→次の事件が起こる。基本はこの繰り返し。地元の刑事二人が、いつまでたっても杜撰な捜査を繰り返すので、観客は最後までいらいらさせられる。しかもこの刑事たち、拷問には精を出すが、足を使う捜査は全然しない(笑)。ソウルから来た刑事の方がよっぽど頭も使うし、足も使っている。結局捜査パートは、ソウルから来た刑事に頼り切りになっているため、物語のテンポやバランスが悪くなっているのだと思う。 とはいえ、クライマックスからラストの完成度は高い。事件から時間が経過し、警察を辞した男が、改めて事件現場を訪ね、何かを悟ったような、あるいは決意を固めたかのような表情を映して映画は終わる。余韻のある終わり方だと思う。 【nakashi】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 08:20:10) (良:1票) |
39.《ネタバレ》 未解決事件=犯人は捕まらない、と結末を堂々と宣言している極めて挑戦的な映画。サスペンス映画にとってはかなりのハンディキャップとなるはずだが、結果この内容で我々をうならせたのだから、これは監督の手腕に脱帽であります。迷宮入りするような連続殺人事件ですら、最初はただの一事件。それが次第に恐るべき大事件に変貌していく過程を、監督はソ・テユン刑事を介して視聴者に伝えることに成功している。常にソウルの難事件と向き合うこの百戦錬磨の刑事が、こんな田舎の事件などと最初は余裕をかましていたこのイケメン刑事が、事件の悪化とともに徐々に冷静さを失い、終盤近くではもはや半狂人のようだ。ラストの田園のあまりにも美しい風景は、「そう、犯人はまだ捕まっていない。今もその辺に放し飼いになっていますよ」と皮肉たっぷりに言いたげだ。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-11-10 19:35:43) (良:1票) |
38.《ネタバレ》 「ミステリーの最高傑作!!」とありますが、流石にそういわれる意味が分かる内容。 韓流なんて言葉が流行したので、僕の中で韓国映画は最悪のイメージだった。 んで、ちょっとこの作品にナメてかかった。 映像とか全然期待してなかった。 なのにこの作品を観てみると、映像がとてもダークでカッコイイ。とても渋い。 アジア版「羊たちの沈黙」、東洋の「セブン」といっていいと思う。 異国的なのに日本と似ている風景もあってとても惹かれる。 ノスタルジックな風景ともいえる。 トンネルとか電車とか、凄くいい感じ。 なんたって田園風景がヤバい。女学生もヤバいです。 この作品を観て、自分は雨の風景が好きなのだなぁと。雨って憂鬱で良い。 結構ダウナーで衝撃の連続。遺体がめちゃくちゃリアルで息を呑む。 韓国映画の印象が変わった。 (2009年の映画メモをもとにレビュー) 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-06-08 22:30:36) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 ラストシーンのソンガンホのアップ、好きです。2次元の映画の世界に陶酔していた観客を、唐突に現実の世界に引きずり戻す社会的メッセージの凄まじさ。もしかしたら、映画館の隣の席でポップコーン頬張りながらこれを眺めているかもしれない犯人と、主人公が対峙する瞬間。当時韓国の映画館でこれを見ていた観客達は、震え上がっちゃったんじゃないかなあ。チェイサーでは途切れてしまった、追う者の執念というか、社会的メッセージの糸がこちらの世界にまで繋がっているのを感じる映画でもあります。こういう作品が出てくるくらいなんだから、韓国社会ってのは、あの時代よりも今のほうが、警察への怒りが蓄積されてんのかな。ストレスは溜まりますが、心に残る映画だと思います。 【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-11-24 04:04:19) (良:1票) |
36.《ネタバレ》 いかつい。つくりは重厚、演技は迫真。久しぶりにこんなにいかつい映画を観た。2人の刑事の関係性の変化、事件の展開、どちらも濃厚で見ごたえは十分。筋は忘れたけど、ジャック・ニコルソンの「プレッジ」を思い出した。派手な映画を好きな僕としては、点数を低めに抑えがちなジャンルなんだけど、ここまで骨太な感じで押してこられると、あっさり寄り切られて高評価になっちゃいます。刑事映画が好きなら外せない一作であることは間違いないでしょう。 7点か8点かで迷ったけど、ソン・ガンホのラストにやられたので8点。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-06-21 23:30:15) (良:1票) |
35.うん、面白い。全然期待してなかったけど、凄く楽しめた。実は、まだ犯人が捕まってない、ということを知らないで観ていたので、映画で犯人探しをしてしまいましたよ。ところで、画面からは、のどかな風景か垣間見えて、気持ち良かったですね。ストーリーは、ちと微妙かもしれんが、上手く纏めていて、グイグイ引っ張っていってくれました。あと、どうでもいいことですが、韓国で飛び蹴りは、普通なんだろうか?w 【瑞鶴】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-12-27 23:48:45) (笑:1票) |
34.昨今の韓流ブームの中、名優ソン・ガンホがあまり取り上げられないのは悲しい現実です。確かにイケメンではないが、彼が正当に評価されて初めて韓国文化がブームではなく、根付いたと言えるのではないかな?やっぱ韓国映画の冒頭とラストの使い方はうまい!! 【tonao】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-12-08 21:25:52) (良:1票) |
|
33.韓国映画ってなんか少し抵抗があって最初は見る気なかったんですが・・・ 見てみたら面白くてラストまで一気に見てしまいました。 未解決事件というのを知らずに見ていたので「えっ?犯人はっ??」 って思いなんだよ、不完全燃焼~とか思ってましたけどあのラストは良かったです。 パク刑事もいい味出してて韓国映画もいいじゃん、と好きになりました☆ 【あみ】さん 8点(2004-12-02 01:41:51) (良:1票) |
32.問題が解決しないものは嫌だ。事実を元にしてるから覆すことは出来ないのだけれども、やっぱり終わった後の後味が良くないです。ま、それが率直な感想なんですが、内容はかなり良かったと思います。熱演でしたし、引き付けるものもありました。 【taron】さん 8点(2004-04-20 15:41:58) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 当時まだ未解決だった連続猟奇的殺人事件を映画化する監督の本気と覚悟を感じるかなりヤバい作品。ずさんな捜査や暴力や捏造を厭わない取り調べ、その描き方は間違いなく警察当局への当て擦りであり、狡猾な真犯人が画面の隅っこでほくそ笑んでいる様を想像してしまう。不気味である。柔らかい手をした被疑者が浮かび上がった時には、やっぱりこんな風貌のヤサ男が真犯人だったか想像通りだと言わんばかりに、見ているこっちは何とかコイツの尻尾を掴んでくれと熱くなる。だが実際の残忍な連続殺人事件が未だ解決していないわけで、真犯人がまんまと逃げおうせているという不気味さと苛立ちだけを残す。思考停止、行き止まり、絶望。で、あの問題のラストシーン。スゴ過ぎる。衝撃的に後味の悪いラストを敢えて用意し、真犯人への憎しみはボコボコと煮えたぎるように増殖していきます。絶望、怒り、恐怖、そういった人間が抱く負の感情を総動員させられる恐ろしいラスト。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-12-08 16:14:52) |
30.《ネタバレ》 「あのファソン連続殺人事件の犯人がDNA鑑定によって特定された!」というビッグ・ニュースが飛び込んで来て、この事件を元ネタにした本作を思い出して鑑賞。 正直前半はもうイライラさせられっぱなし(実はむかし観たときは、それに耐えられず五分でギブアップさせられました)、でもウルトラマンに出ていたころの若き日の毒蝮三太夫みたいなソン・ガンホ刑事のアホ捜査ぶりにはだんだん笑うしかなくなってきたのが不思議です。この刑事たちの愚行よりある意味凄いのは警察組織自体のオンボロさで、いくら田舎警察と言っても死体発見現場の現状保存ぐらいふつうするでしょ?もうすぐソウルでオリンピックが開かれる頃のお話しなのにねえ。この映画の愚行の中でいちばん笑える祈祷師にお伺いをたてるエピソードも、実話に基づいているというのもサプライズです。その警察の動きにチョン・ドファン政権時代の社会情勢を絡ませる描き方はちょっと言い訳じみているけど素直に上手いなと感じました。列車やトンネルの使い方も巧みだし、俳優たちの熱演を上手に引き出せたストーリーテリングだったと思います。 この映画は実話ものというよりも実話をもとにした独自の情念劇と観るのが正解でしょう、でもその問題提起するパワーはかなりのレベルだと思います。いちばんの皮肉は、この映画が世に出たころには真犯人とされる人物はとっくに刑務所の中だったということでしょう。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-10-07 21:26:40) |
29.《ネタバレ》 生活感溢れる、脂まみれの台所を覗いているような感覚こそが 韓国映画の持ち味だと思います。 この映画に関してもまさにそう。 ギトギトに脂ぎっていて、下手に触れたら手が脂まみれになりそう。 手を洗ってもしばらくは脂臭さが抜けないような、不快感さえ感じて しまいそうな映画です。 この感覚は、黒澤映画の「天国と地獄」で感じたものと同じです。 しっかりと「人」と「時代」が描けているからこそこのように感じるのでしょう。 この監督の映画を観ていると、名監督独特のリズムを感じる絵造りや、 脚本、演出が感じられ、緩急自在に映画全体を監督が支配していることが 感じられます。 それに加え、やはり俳優陣の名演技。 俳優が俳優として見事な仕事をしています。 特に主演のソン・ガンホ。牧歌的なおじさんという見た目ながら、 演技の鬼とでもいうべき熱演から目を離す事が出来ませんでした。 この韓国映画独自の持ち味は貴重。 見ておくべき映画のひとつです。 【kirie】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-02-10 22:49:27) |
28.《ネタバレ》 見始めるともう目が離せなくなり、あっという間の130分だった。実際の未解決事件を基にしているため、勝手に犯人を作り出すわけには行かないが、逆に逮捕されていない恐怖を強調したラストにゾクッ。少女の言葉に集約されるが「普通の顔」…なるほど(これは人によっては狙いすぎと感じるだろうけど)。改めてポン・ジュノは凄い監督だな。 【リーム555】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-10-08 13:30:24) |
27.《ネタバレ》 用水路を覗き込むその視線はこちら側、現実の世界に続いている。結局犯人わかんないんでしょ、となってしまう実話の未解決事件のラストシーンとしてはこれ以上のものはないのでは?何とも気持ちの悪い後味を残す。 |
26.あと一歩のところまで犯人がいるはがゆさ。 監督も見る人もとことんマゾな映画だなぁ。 【とま】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-12-12 13:00:29) |
25.刑事が事件を捜査していくうちにのめり込み過ぎて自滅、あるいは生活が崩壊してしまうというのはサスペンスでは以外と多いパターンですが、この映画では適度な緊張感が最後まで持続され、見ているこちらの集中力も落ちることがない素晴らしい内容でした。ソン・ガンホの演技が圧巻。ラストシーンのあの表情はある意味、グロテスクな殺人シーンより衝撃かも。 【仏向】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-10-09 13:43:10) |
24.《ネタバレ》 韓国映画はあまり観ないので友人に勧められなければ観ることはなかったこの作品、完全に食わず嫌いでした。冒頭で未解決事件と分かってしまい「なんだどうせ犯人捕まらないのか」と思って観ていましたが、重厚なトーンと、リアルな描写、ソン・ガンホの演技力にあっという間に引き込まれ、夢中になっていました。食べる芝居ががうまい役者は大好きで、ソン・ガンホもその一人に加わりました。脚本も絶妙で、シロということでノーマークだったグァンホが実は目撃者だった、というラストへの展開は見事で唸らされました。ラストはものすごく雨をうまく使っていて、雨に滲む血や、列車に裂かれぐちゃぐちゃになる容疑者シロというDNA鑑定書など、やりきれない刑事達の思いを表現していると思う。すべてにおいて表現の巧みな作品。 【ポテサラ頂戴】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-10-07 12:24:36) |