1.重い悲劇だけれどいろんな問題提起がされているようで興味深く、見ごたえのある作品だった。
一つの家を巡って対立することになる女性とイランからの亡命者一家。
失意の日々で怠慢から家を失うことになった女性も、かつての栄光ある誇り高い大佐もそれぞれ家にこめた思いや切実な事情がある。双方とも悪意はないのだが、どちらにも肩入れできないというところもある。
解決するにはお互いによく話し合って双方が譲り合うしかないと思うのだが、私情で女性側に立つ副保安官が絡んできて事態をこじらせてしまう。
この人物のとった対応がアメリカという国を示唆してるようでもある。本人には悪意というより正義感からなのだろうが、事態をよく理解しようともせず一方的な感情で銃で脅しつけて介入したことで思わぬ悲劇を招くことになる。
非常事態で大佐が息子に言う「臆病だから銃で武装する。臆病者は刺激しないように冷静に振舞おう」といったようなセリフも印象的だった。言葉も文化も異なる者が利害で対立した時何が大切か、どういう対処をすべきなのかといったことを考えさせられる。両者をイスラム社会とアメリカの現在の姿として見るととても興味深い。
J・コネリーやベン・キングスレーなど出演者もとても良かった。