11.《ネタバレ》 絶体絶命の雪山遭難から奇跡の生還を果たした登山家の物語。“絶体絶命”は掛け値なしで、これを奇跡と言わずして何を奇跡というだろうか。それほど絶望的な状況だった。1985年英国人のジョーとサイモンの二人が未踏峰のアンデス山脈シウラ・グランデ峰の西壁に挑む。無事登頂に成功するが、下山中に雪庇が崩れ、滑落したジョーが右足を骨折してしまう。二人はお互いの体をロープで括り、ジョーがロープの長さだけ滑べり落ち、落ちた地点にサイモンが合流する方法で下山する。それを繰り返すうち、ジョーは氷壁に宙吊りになってしまう。折しも吹雪で視界はきかず、声も届かない。共倒れを防ぐ為、サイモンはロープを切る。ここから奇跡が始まる。ジョーは45mも落下して氷棚に叩きつけられるが、命はとりとめる。急峻な氷壁は登れず、仕方なく地下に降りると偶然にも地表へ通じる出口が見つかった。そこから迷路のような氷河を這いずりながら抜け、と氷堆石帯に出た。そこからは片脚と杖代りのアイスバインで、激痛に耐えつつ、文字通り転がりながら移動し、9㎞の距離を5日間かけて漸くキャンプに辿り着いた。幸運にもサイモンはキャンプを去らずに待機していた。観ていて“痛い”ことおびただしい。何度も目をそむけた。痛いだけでなく、体感温度マイナス60度の極寒、飢餓、絶望感、死への誘惑に耐えながら一歩一歩すすんでいく姿は凄絶で筆紙に尽くしがたい。強靭な精神力があってこそだが、強い生への執着があったのかといえば、そうでもなく、本人に言わすと「生き抜くために進んだんじゃない。死ぬときに誰かにいて欲しかった」かららしい。死を意識したとき頭に浮かんだのが、好きでもないディスコ曲だったという話も体験者にしかわからぬことで、生々しい。長い距離も20分ごとに目標を定めて歩んだ積み重ねの結果だという。サイモンは、ジョーが怪我したとき、「このまま転落してくれたら」と告白し、ロープを切った重荷を一生背負っていくという。学ぶことの多い映画だ。特筆すべきは撮影技術で、空撮、遠景、俯瞰、仰視、アイゼンとアイスバイルの大写しを巧みに使い分けている。山岳映画の最高峰だろう。現地で撮影し、クレバスも本物、空撮に映る姿は俳優ではなく、本人だ。山岳美も素晴らしく、粉雪の作りだす「アンデスの悪魔」は必見。再現劇方式で本人達が顔を出すが、年月を経ている為、冗談交じりになっているのが残念。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-02-04 05:43:27) |
【まさ】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-02-08 14:04:07) |
9.《ネタバレ》 つい1週間前に冬山に登ってきて、今回は暖冬で暖かく、割合楽な行程だったけど、そういったことを少しでも知ってるとこれがいかに大変だか分かる。去年の八ヶ岳は寒かったけど、それもー25度とかだから、-60度ったらとんでもない寒さだと。指が動かないってのも、実際アイゼンがつけれなかったからよくわかる。 【θ】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-03-09 00:21:44) |
8.《ネタバレ》 実際に起こった山岳遭難事故を再現フィルムに当事者の語りを織り交ぜて構成したドキュメンタリータッチの作品。当事者の語りを加えることにより、生還することは判ってしまうところで評価が分かれそうだが、再現の映像はテレビ番組のものとは比較にならないほど臨場感にあふれたもので、緊迫感はほとんど失われてはいないと思う。むしろ、この絶望の淵から如何にして生還出来たのかという疑問が心をわしづかみにして、片時も目をはなせない。一瞬にして命を落とす事故が多い中、時に人間は信じられないしぶとい生命力を発揮するものだと驚愕してしまう。身近な目標物を決めてそこまでの到達をいくつも積み重ねていきながら、果てしなく思える道のりを地道に進んでいくさまは、昔マラソンの君原選手が苦しくなった時「あの電信柱までがんばろう」の繰り返しでゴールまで辿り着く話を思い出させた。アンデスの美しく厳しい山岳風景も素晴らしい。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-09 00:37:06) |
7.《ネタバレ》 とにかく”生きる”事への執着心をこれでもかって程感じます。もちろん彼らは自信の趣味・嗜好の延長として、命の危険を冒してまで登山をするわけですが、こういった話を聞くと、地球上のあらゆる土地に生活の場を広げていった、生物として人類のしたたかさや強さの一面をかいま見た様な気がします。 【camel】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-04-22 16:14:33) |
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6.《ネタバレ》 2007.3.6たまたまテレビでやっていたのを見た。小説では人の心の動きを楽しめるのに、映画ではそこまでいかず映像にひきずられ、小説を超えることができないことを体験することがある。しかしながらこの映画、心の移ろいが実によくわかる映画に仕上がっていると思えた。想像と違う、実話に基づいた話だからこそ、細かな気持ちのひだが良く分かる作品に仕上げられたのだと思う。美しい映像だった。外に出られたとき、快晴の中に仰向けにねっころがるシーン。絶望からひとつ抜け出せた不思議に夢を見たような気持ちだったろう。その気持ちというか感覚が想像できる。夢のような感覚。夢を見ているような感覚。この映画を見ている自分が、快晴の澄んだ青空を見上げている感覚を登場人物とともに味わっていた。絶望しかねないはるかな道のりをじりじりと進んで最後は助かるという不思議に神の加護を感じる。20分の目標を持つことが、そのまま生きることにつながっていた。何か非常に教訓を含んだものを感じさせられた。受験勉強や目標達成の心構えを教えてくれていると思う。 【なかがわ】さん [地上波(字幕)] 8点(2007-03-06 23:12:53) |
5.この映画、暗黒のクレバスの上で、氷がピキッと割れてドキドキする映画なんですが、僕はこの映画のDVDのケースを棚にしまうとき、うっかり床に落としてしまい、プラスティックでできたケースがピキッと割れてしまいました。(´;ω;`)ブワッ |
4.《ネタバレ》 本人の語りを見ながら、ジョーは嫌な奴なんだろうな~って、なんとなく思える(笑)。雪山よりもモレーンを這いずる姿に肝が冷える。でも、それを執着と言えばたやす過ぎる。彼をここまで動かす、生きるものの宿命にもぞっとする・・・。 【ジマイマ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-10-02 16:39:22) |
3.生還すると分かってるんだけど、緊迫感がすごかったです 【NIN】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-03-11 15:47:35) |
2.《ネタバレ》 冬山の映像がすごい!粉雪が生き物のように峰から湧き出てくるシーンなどは その美しさにぞっとする。 ただ遭難してからジョーの心理描写(というか本人の説明)にはなんとなく腑に落ちないところがあった。 ザイルを切られたことに対して自分でもそうする、と理解はできるのだけれど心のどこかでそれを許せない、認めたくない自分がいて、しかし それでもなおサイモンたちがまだキャンプに残っていてくること、捜索に来てくれることを期待している自分がいる、といった。 そういったもやもやはひとまず置いといても、あの状況から前進しつづけた彼のあきらめない精神には恐れ入った。 あと、体感気温-60度の場所から少し降りただけで、水浴びできるほど気温が上がる、というのが?だった。 【あきんど】さん 8点(2005-03-27 23:07:45) |
1.《ネタバレ》 実話を再現ドキュメンタリー風に描いているが、実際に遭難したアンデスの雪山などでロケしたという吹雪やクレバスの中などの映像がリアルですごい迫力! 撮影したスタッフやキャストはどんなに大変だったかと苦労が偲ばれる。切り立った氷壁を登って登頂に成功してからの下山途中にジョーが滑落してザイルで宙吊りになってしまう。ザイルで繋がれたサイモンは必死で支えるがとうとうこらえきれずにザイルを切ることになる。このあたりもドラマチックだが、ザイルを切られてクレバスに転落してからのジョーの行動がすさまじくてここからがさらにドラマチックで感動的。偶然クレバスの棚田に落ちたものの滑落で片足を骨折している。ここで死を待つよりは、、とクレバスの底へ降りていく決断もすごい勇気だと思うが、クレバスの底が地上に通じていたなんてのも奇跡的な話。 雪原に出てからは這って進み、岩場になってからは片足飛びをしては転びながらひたすらベースキャンプを目指す。岩場で転倒を繰り返しつつ前進するその壮絶さを見てるだけで体に痛みを感じるほどだった。 心身共に極限状態でのその心理状態を生還した本人が語っているが、人の生命力には想像を超えるものがあると感嘆する。ベースキャンプ近くまでたどり着きそこにまだサイモンがいたことも幸運だった。 生還できたのは本人の強い意志や生命力もさることながら、何か大きな力があったように思えてならない。 こうしたリアルな再現映像の合間に当事者たちのインタビュー映像が度々はさまれて、映像が途切れるのがちょっと惜しい気もする。 【キリコ】さん 8点(2005-03-19 22:23:13) (良:1票) |