1.青い空に浮かんだ雲がだるそうに流れゆく休日の昼下がり、どうしても見た~くなる映画があります。例えば「八月の鯨」。この映画も監督自身の「田舎の日曜日」と同じくその類で、南仏の海沿い、高台の家を舞台に遠くサッカー場から聞こえる子どもの声やホイッスルの音が穏やかな海の眺望に溶け込み、何もしなくてもそこにいるだけで、生きるっていいな~と思わせるようなフィルム空間が生まれています。父と母と娘、この三人のやや計測の難しい距離感がその空間で切り取られ、それだけといえばそれだけですが、それだけなのがいいんですな。ロージーの「召使」あたりでは、怪と陰を存分にのぞかせていたダーク・ボガードがダディに扮しノスタルジックに演じているのも見ものです。春眠にパンプキンパイとシナモンティーでも用意してどうぞご覧あれ。