27.《ネタバレ》 やっぱりスピル-バーグは凄い。 イスラエルのスパイがパレスチナ過激派の幹部を暗殺していくと言うお話。 一人一人暗殺する尺がかなり長めだが、それを全く間延びしているように感じさせる事無く重々しく演出している。 映像だけ見てもアングルや手ブレの頻度などが本当に上手い。 最後の方は自身が暗殺の対象になりノイローゼ状態になるが、そこで初めて違った視点で物事が見えるようになった主人公。そんな彼を呼び戻そうとやってきた上官を食事に誘うが断られる所が印象的だった。 【ムラン】さん [DVD(吹替)] 8点(2011-07-24 11:37:25) |
26.映像の綺麗さと、物語の醜さのコントラストが秀逸でした。今世紀になってからは、メリハリの有りすぎる主張や展開はアメコミのリメイクに一手に任されている感じがします。その分こういった映画は、まじめさとエンターテイメントのすれすれの所を真剣に狙って作られているのではないかと。 また結論を受け手に全部丸投げにしないというのも好印象です。映画を観ているだけでプロの脚本家が大金を掛けた映画の結論以上のモノを想像できるかというと多くの場合そうではないですから。ただ、ドキュメンタリー的な映画だと思って見始めると拍子抜けします。 政治的な要求を、政治家になるなり要職に就くなり、アメリカで文化的な活動をするなりきちんと手段が存在するにもかかわらず、殺人で手軽にすまそうとするテロリストは完全な悪であり一分の理も義も酌量も感じません。政治的な要求に対する一切のコストを払わず、情を挟めば殺して良いなどと言う論理が存在するのはテロリストのコミュニティの中だけです。 ですが、そんな完全悪とはいえ相手は人間。じゃぁ罰する手段は死でもって、となりますが、誰がどういう理由とモチベーションで立ち向かえばいいわけ?という矛盾を突く主題が ぴりりと小気味良い。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-05-17 00:41:43) (良:1票) |
25.つい先日までイスラエル軍がガザを攻撃していた今、この映画の持つ意味がより大きく感じられる。 時々勘違いしている人がいるが、この映画、政治的な意味はまったくない。単にパレスチナ紛争が背景になっているというだけで、どちらが良いとも悪いとも描いていない。歴史的・政治的に言えば、中等における「悪」はイスラエルとアメリカ政府である、と僕は思っている。しかしどちらが悪いのかは、ここでは重要ではない。 テロリズムは民族問題の解決に何の役にも立たないばかりか、怨嗟を循環的に再生産し、犠牲者だけを増やしていく……。それはイスラエルだけでなく、PLOにとっても同様だ。それを、ユダヤ人のスピルバーグが映画にしたことの意味は大きい。 原子爆弾の場合と同じである。太平洋戦争において日本、アメリカどちらが悪いのかといった論議とは関係なく、手段として絶対的に悪い物というのはあるのだ。 スピルバーグらしい活劇ではない。サスペンス要素も薄い。だが、良い映画だ。 文句としては、「情報屋」ルイ一家があまりにも全能すぎること。あんな便利な存在があるんだったら、最初から殺しまで依頼したらどうよ。 【佐吉】さん [DVD(吹替)] 8点(2009-08-09 17:11:32) |
24.《ネタバレ》 スピルバーグらしい残酷描写を堪能させていただきました。“こんなもの見せなくてもよからうに”というようなシーンが幾つもあり、それは通常不要で映画の質を落とすものなのですが、かえってスピルバーグタッチとして受け入れられるのが面白い。この映画は決してイスラエルの作戦を容認しているようには思えません。暗殺のターゲットとなる「黒い十月」のメンバーたちがみんな中年のおっさんで、見た目は普通の中産階級の様に描いているのは、「プライベート・ライアン」でドイツ兵を坊主頭の野蛮人として登場させていることと対比して興味深かったです。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-08-08 00:34:27) |
23.中東問題に関しては、どうしても我々日本人は感情移入しづらい。テロはどこをとっても悪だが、かといってミュンヘン村を襲撃したパレスチナ人が完全悪とはいえないのが中東問題であり、報復のスパイラルの成立でもある。もう少し世界史を勉強してからもう一度見ます。 個人的には、アヴナーとアリの絡みをもう少し見たかった。 【黒めがね】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-10-18 23:23:48) |
22.ユダヤ人であるスピルバーグはこれまでどうしてもユダヤ人の側を肯定し、敵を悪とする映画を多く作ってきたがこれはイスラエル側からも非難の声が上ったように必ずしもそうとは限らない内容。このような事件を今更描いただけあって満を持してというさすがの出来で久々にスピルバーグが「映画」を作ったという感じ。それでいてエンターテイメントに仕上げてしまうのは見事だ。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-08 16:57:32) |
21.テロへの報復の無意味さと、テロそのものの悲惨さを痛感させられる作品でした。それでも「右の頬を叩かれたら左の頬を差し出せ」というのは神様のお告げであって、復讐が何を生むわけではないことはわかっていながら、それでも復讐してしまうのがどこか人間的な部分である気もします。テロへの報復がテーマでありながら、サスペンスタッチに仕上げ長い上映時間ながらそれを感じさせない演出は見事でした。テロのない世界を望みながらもそこまでの道程の果てしなさゆえに、最後まで声には出さずに観る者に伝えようとした真摯な姿勢が映画に現れていたと思います。 【Thankyou】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-01-31 19:37:30) |
20.長さを感じなかった。神経すり減らし、最後はクロゼットで寝る男の話が印象に残った。 【RTNEE USA】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-21 12:56:45) |
19.この映画は、ミュンヘン事件への報復のために組織された暗殺団のリーダーとなった男の物語。ミュンヘン事件自体もその前の事件に対する報復行為であり、決して始まりではない。報復がまた次の報復を喚起し、決して終わりを遂げることはない。9・11の報復を正義を掲げて行なったアメリカ。そしてその報復を受けた側の更なる報復は今後も続くであろう。映画の時間軸はあくまでもミュンヘン事件への報復までですが、それから30年以上経った今でさえ一向に解決の糸口さえ見えない(むしろ険悪化している)状況に、何とも虚しい気持ちになります。映画自体は、こういった重いテーマを持ちながらも、娯楽性も備えたサスペンス映画として万人が楽しめるように出来ています。 |
18.ネタ的には、テロリストをやっつけるという、勧善懲悪的な娯楽作品として始まるこの映画。実は「人狩り」という、極めて残酷でありながら極めて普遍的な「楽しみ」、であります。しかしその先に待っているものは、先の見えない泥沼であり、果てしない徒労感。主人公にとって最後に残された拠り所は、家庭、なのですね。この「家に帰る」、ということが、個人レベルでも、民族レベルでも、本作のテーマの一つであるように思います。イスラエル建国という、一種の帰郷。しかし、その結果生み出されたものは、際限の無い争いと憎しみ。世界中に散ったユダヤ人にとって心の拠り所となってしかるべきイスラエルという国家は、彼らの想いをよそに、暴走を続ける。この「失われた故郷」という哀しみ・・・。いや。この映画に託されたものは、さらに普遍的なもの、もっと個人的なものなのかもしれない。かつてはスピルバーグも希望も野望も持った一人の映画青年だったはず。そんな彼も、もはやハリウッドの中枢に取り込まれ、彼の映画製作自体が大きな経済活動となり、その一方で、映画の中での「発言」もまた、とてつもなく大きな反響・批判にさらされることになり、不本意な闘争にも巻き込まれてしまうことになる。そういう「失われた無邪気さ」、あまりにも社会的な存在になってしまった自分の、「個」へと帰ることのできなくなった哀しみ、すらも、この映画にこめられているのかもしれません。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-08 14:00:47) |
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17.《ネタバレ》 この映画は死の重みがうまい。仲間の死や、標的の死、人質の死、敵の死…。形はいろいろあっても全て重い…。特に狙撃を受けた犯人グループがヘリの中の人質を射殺するシーン。殺す側と殺される側の表情に全て集約されると思いました。歴史的、政治的な解釈をするまでもなく登場人物が死ぬだけでやりきれない気持ちになります。 【株式】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-12-07 18:23:35) |
16.《ネタバレ》 ミュンヘン事件は、私が高校生の時でとても衝撃的な事件でした。ただ、この事件をきっかけにパレスチナ問題を初めて認識したのも事実です。なぜ、人質が空港で全員殺されなければいけなかったのか。この映画を見てよくわかりました。暗殺者が、標的の娘が電話に出て、必死に爆発をストップさせようと走るシーン。オランダ女の必死の弁明も無視して、空気銃をセットするシーン。この2つのシーンが、なぜか、同じ人間の中にある善と悪の二面性を見せていて、印象的でした。 【ジブラルタの星】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-11-20 16:55:35) |
15.久々に観る怪作です。この一連の事件を映画として取り上げた時点で、もう脱帽。グーの音も出ません。事件当時、子供心に感じた激しい戦慄が、にわかに蘇ってきました。ラストのWTCビルが印象的ですが、たしかに昔から今日まで、報復の応酬の図式はまったく変わっていないんですよね。それに映画としても、どこぞの国のお涙頂戴映画とも、かの国のドンパチ礼賛映画とも一線を画し、血なまぐさい話にも関わらず格調の高さを感じさせてくれました。途中、“同宿”を余技なくされたパレスチナ人青年と、ラジオの選局を競って最終的に折り合うシーンがあります。全編にわたって絶望的なストーリーではありますが、ただ唯一、このシーンにだけは、かすかな希望が込められていた気がします。 【眉山】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-11-06 03:15:35) |
14.これだけのテーマを、エンタメたっぷりに見せられるスピルバーグってやっぱりすごいよ。 【k】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-10-13 17:46:22) |
13.ノンフィクションということで、リアルに描かれていました..ノンフィクションであるが故に、淡々と物語りは進み、派手なクライマックスシーンがあるわけでもなく、淡々と終わる..良くあるパターンとも言えます..秀作ではあるが、10点ではないです... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-08-28 12:16:44) |
12.《ネタバレ》 最初は映画館で、今回DVDにて鑑賞。ミュンヘンオリンピックの事件の時は僕は小学生だったが、なんとなく覚えている。今も憎悪と暴力の応酬が続くパレスチナ。ユダヤ系であるスピルバーグにとっては大変身近なテーマなのだろう。その点日本人にとってはニュースでいつも見ることはあっても、何処か遠い世界のような気がする。平和ボケが良いか悪いかは置いて無実の国民を何百人も拉致されても何も出来ない日本とは全く違う。イスラエルも、土地を終われたパレスチナ人も、自らの国、生存権を守るためには暴力をも躊躇しない。その血と暴力の歯車に否応無く巻き込まれていくアヴナーは、任務を遂行するうちに、段々とこの現状に疑問を抱くようになり、最後には暴力の応酬からは何も生まれないことを悟るわけだ。うーん、しかし、どうだろう。この応酬からは何も益が無いということは多くの人がわかっているのではないだろうか。それでも止まらない現実に悲劇がある。映画としてそのような落とし所に持っていくのはとても正統で、確かにそのとおりなのだが、僕には何か割り切れないものが残る。おそらくスピルバーグもその辺はわかっていて、その絶望がラストシーンのWTCに現われているのではないか、と僕は解釈したのだが・・・。 【ロイ・ニアリー】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-08-21 19:24:44) |
11.Munich と書いて ミュンヘン とは、どうしても読めない自分がいる。 【STEVE-O】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-07-28 06:08:26) |
10.所謂「前提知識が無いと訳が分からなくなる映画」です。 「パレスチナ問題」に繋がる、イスラエル人とパレスチナ人の対立が主軸な訳ですが、これに加えて 「黒い九月事件」 このワードに聞き覚えがない場合は事前に知識を仕入れて置いた方が良いです。 知らなくても楽しめるんですが、知ってると更に楽しめます(^-^) 「ミュンヘン事件」 については http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%98%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E4%BA%8B%E4%BB%B6 ここに書いてあります。軽く目を通しておくと良いかと。 【らべ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-04-28 00:26:14) |
9.《ネタバレ》 非常に良く出来た作品です。スリリングな展開、アクションもハリウッド仕様でとても迫力がありました(爆発シーンは心臓が止まるかと思いました。)。 しかし、これが現実に起きた話を基に作られた作品であり、ここで描かれているパレスチナの問題はあまりにも惨たらしく、そして今なお殺し合いが続いている事を考えると、非常に恐怖を感じてしまいます。スピルバーグは自らの出自がユダヤ系であるにもかかわらず非常に中立的に描いており、逆にそれが双方が加害者であり被害者であり、また正義であり悪であるという救いようのない現実を浮き彫りにしています。 【TM】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-04-16 22:10:41) |
8.賛否両論あるようですが、今の時代だからこそ必要な映画だったと思います。 |