16.《ネタバレ》 クリストフガンズ監督(名前を間違えて覚えてた)はジェボーダンの獣で毒々しい近親姦を描いたり拷問したり、このサイレントヒルでも生々しい魔女裁判を描いていたので、
この監督の心象風景にあるのは渋沢龍彦の文学のような血生臭い暗黒時代なんだと思う。
このサイレントヒルでは魔女裁判の火あぶりが生々しすぎる。
血のゲロを吐きそうです。
人をボコボコに殴ったときの胸糞悪い感じがとても残る。
宗教の血生臭さも異様でやっぱこの監督は暗黒だ。
ただこの監督はジブリのようなファンタジーも大好きなオタク監督だ。
教会の(偽)聖域に魔のものを持ち込むシーンもジブリの影響が大きい。
そんな監督は原作ゲームも大ファンです。
だからこれほどクオリティーが高く映画化できたんだと思います。
やっぱ映画化するってのはそれを好きな人に監督を頼まなきゃダメだと思うんです。
好きだからこそサイレントヒルの幻想的な美しさを見事に映画化したんだと思います。
ただ日本人とは宗教が違うためか、解釈もだいぶ違っています。
このサイレントヒルはどうやら「死後の世界」らしいのです。
シャロンとローズとシビル捜査官はあの事故で既に死んでいたと思います。
また微かに少女趣味が漂うのは、そこが女性しか立ち入れない空間だったのかもしれません。
サイレントヒルという町は人間がいないからこそ美しいのだと思ってました。
この作品では人がずらずら出てきますので、そこが欠点でした。
ただこの監督は人間の暴力や生々しい邪悪を描きたい監督であるなら人が沢山出てくるのもしょうがないと思います。
音楽をまるまる使用したのは、ゲームの方のイメージとダブるので使い分けて欲しいです。
幻想性は高いし、この独特の哀愁はクセになります。
最後に一人残されたダリアの悲しみは深いです。
あの世に逝ききれない魂の集う場所がサイレントヒルだとするとまた哀愁が増します。
ダリアの風貌と、アレッサが血を浴びて踊るシーンと、霧で包まれた灰色の教会は巨匠ティム・バートンにも見せたい気がします。
この幻想的な哀愁を味わうために年に一回は観てます。