4.《ネタバレ》 二人の屈強な大男に押さえつけられて、拘束衣を着せられそうになる幻覚に怯える主人公青年が、同じホテルに泊まっていた貴族のおっさんに助けられて、何故か気に入られ、屋敷に招待されるも、そのオヤジが主催して執り行われるアンチキリスト教的儀式(性的な意味で)をのぞき見してしまい、オヤジに虐げられている女性に対して恋心が芽生え、その魔の手からなんとか助けようとするも・・・と言うような展開です。わけがわからないと思いますが。しかし、貴族オヤジのタヌキっぷりが、すばらしいです。宗教のくだりなど、言ってることは結構まともなのですが、やってることはメチャクチャで、トコトン人をバカにしています。ストップモーションアニメーションのパートは、要所要所に断片的に入り込んできて、豚の舌や、切り身や、目玉などが、あたかもそれ自体が一個の生物のようなコミカルな動きで、ヨーロッパ的な古びてくすんだ景色の中を這い回ったり、目的地を目指して群れで移動したりします。ちょっとしたグロかわいさです。これらは、最初は肉欲の暗喩表現のように取れますが、話が展開するにつれて、その意味するところが、あからさまになっていくところ、なかなかうまいものです。さて、この話はいろいろなとらえ方ができると思いますが、私の勝手な見方ですが、すべては、貴族オヤジの罠であり、最終的に自らの犠牲も顧みずに、計画通りに主人公を陥れ、すべてを失いながらも悦に浸る究極のサディズムの形態を垣間見たような気がしました。いずれにしても、撮影に使用した、泥の中を這い回った豚の舌や、切り身などを、このあとスタッフがおいしく頂いていれば問題ないのですが、問い詰めたいところではあります。