1.神は死んだ、と作文に書いて良識ある父兄たちを仰天させた少女時代から、華々しくデビューを飾りながらも精神障害を理由にハリウッドから追放される女優フランシス・ファーマーの数奇な生涯をジェシカ・ラングが狂演。ラングの奮闘ぶりは若干暑苦しくもあるが、「キングコング」でモデルから女優へ転進のチャンスを掴んだラングが演技派への道を突き進むためには必要な挑戦であったかも知れない。ラングは同じ82年、「トッツィー」でアカデミー賞を受賞しているが、本人の思惑からすればむしろこちらの方が本命であったような気もする。とにかくこの頃のラングには、「私はもうキングコングのオモチャじゃないのよ」的オーラがぷんぷん漂っていたし、この役はオスカーへの最短コースを思わせる実録モノ、悲劇モノ、精神障害モノ。まあこの時代の流行りだったのね、と思わないこともないが、陰謀渦巻くハリウッドの楽屋裏モノとしても見ごたえは充分。実在のフランシス・ファーマーがロボトミー手術を受けながら芸能界に復帰し、6年間に渡って自身のTVショーを勤めたというのもちょっと驚嘆に値する話ではある。