4ヶ月、3週と2日のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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4ヶ月、3週と2日

[ヨンカゲツサンシュウトフツカ]
4 Months, 3 Weeks & 2 Days/4 Months, 3 Weeks and 2 Days[米]
(4 luni, 3 saptamani si 2 zile/4 luni, 3 saptamâni si 2 zile)
2007年ルーマニア上映時間:113分
平均点:6.97 / 10(Review 35人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-03-01)
ドラマ
新規登録(2008-02-28)【M・R・サイケデリコン】さん
タイトル情報更新(2019-09-07)【Olias】さん
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監督クリスティアン・ムンジウ
キャストアナマリア・マリンカ(女優)オティリア
ルミニツァ・ゲオルギウ(女優)アディの母
脚本クリスティアン・ムンジウ
製作クリスティアン・ムンジウ
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1
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13.《ネタバレ》 導入部分こそ、何の話やら見えず眠気に襲われたが、これが何やら堕胎に関わる深刻な話だと分かり、一気に物語に入り込んでいった。

ルーマニアの寒々とした風景に目を奪われた。
なんという寂しくて無機質な風景なんだろう。
訪れたこともない異国の雰囲気を味合う、まさに映画ならではの醍醐味だ。

闇医者の横暴な態度、相手の足元を見てやたらに偉そうにする。
どこにでも居そうな、いわゆる悪どい人間だ。
果てには、遠回しに女の体を要求するという陰湿なスケベさ。
(敢えて付け加えるならば、闇医者として人工妊娠中絶を生業としながら、同時進行で女性の弱みに漬け込み種付けをするという、極悪非道なマッチポンプ野郎!)

直接的に刺激的な描写は極力避けられており、そこには好感を持てた。
刺激的なシーンを全面に押し出すような悪趣味なものではなく、妊娠という動かしようのない事実に直面した際、最終的に辛い思いをするのは女性たちなんだと、静かに訴えかけてくる。

無責任に快楽優先で性行為をすること、それに伴い発生する困難な事態。
そして、その困難な事態に世間は無力であり、男性の理解も及ばない。
窮地に追い込まれた女性たちの行動や心理を、静かな中に確かに描いて見せた逸品。
にじばぶさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-08-06 20:58:11)
12.全く無駄のない作りで緊迫感漂う素晴らしい映画です。生まれてくる子供を始末するのは大変な事であり決して遊びでは済まされない重大事であると改めて考えさせられました。
白い男さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-06-08 15:26:52)
11.チャウシェスク政権末期のルーマニア、病んだ国家で青春を生きる女の子のある一日。ぱっと見、国情は全く豊かでなく、補修を一切してなさそうなビル、滞りがちな物資、停電の頻繁に起こる街。薄暗くて汚い小路。官僚的でサービス精神ゼロのホテル受付の態度に共産圏の香りをびしびし感じる。国がきちんと運営されていなくとも人はそれなりに結託して生き抜くもので、学生寮にまで闇市まがいの流通はあるしバスの切符すら見知らぬ人に融通する助け合いの精神があるのに驚いた。主人公オティリアもまた、その「助けなきゃ精神」によって友人に翻弄される。だけど彼女の助け合いポリシーが揺ぎ無いんだ。胎児を処理(!)までして危険な街路を帰ってきたオティリアをけろりと食事して待つ友人。そんな相手を特になじるでなく疲れを漂わせながらも大変な一日を淡々と終えるオティリアの横顔。理不尽で厄介なことに慣れた、独裁国家の国民そのものを象徴するよう。だけどこの人たちは打ちひしがれたままでない、その後の経緯を知ってるからこそ、とても興味深く観賞できた。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-01 01:46:18)
10.人と人が繋がるということへの絶望感が全面に出た作品。主人公とルームメイトから、医者とその母親まで、人間と人間の間にある絶望に終始苛立たせられる。レストランでのラストシーン、うつむき続けるルームメイトと彼女を見つめ続ける主人公。その視線が映画を見る者に向けられたとき、あまりに直接的に我々は自分を批判的に意識させられ、そのまま唐突なエンドロールに投げ込まれてしまう。鑑賞タイミングを間違うと酷い事になりそうな一作。
楊秀清さん [DVD(字幕)] 8点(2011-03-06 19:22:30)
9.《ネタバレ》 パルムドール受賞作ということで観ましたが、パルムドールらしい作品だったと思います。少ない登場人物に重いテーマ、そして手持ちカメラの使用や、BGMや効果音を一切使わない手法、ラストシーンに含みを持たせている等々、ヨーロッパ特にフランス映画の影響を強く受けているように感じました。最近のパルムドールでは「ある子供」と非常に似た手法です。

ストーリーはチャウシェスク政権をよく知らないと理解しづらいようですが、こういう時ほど世界史を勉強しておいて良かったと思うときはないです(笑)

違法である堕胎を行うルームメイトを助けるために奔走する主人公。そこで堕胎という女性に特有の行為に直面し、金の問題や闇医者によるレイプなど厳しい現実にも遭います。そこから生まれる男性への不信、将来の不安が一気に溢れだし、彼氏と衝突します。その家族とも衝突します。その家族と友人達が古い価値観しか持っていないからです。
そこを表す食卓での長い会話のシーンは恐らく1カットであり、あそこまでの長回しをするということはそれなりに意味があるのでしょう。その会話に嫌気がさしている主人公の顔が印象的でした。
ラストシーンもかなりシンボリックで、唐突に終わります。ガラスに反射する車のライト。主人公はその車に目を向けます。あの車は希望を、それとも更なる苦難を彼女たちにもたらすのか。恐らく現実は甘くはないでしょう。
暗い顔でテーブルに座っている二人の向こう側には、すりガラスを挟んで裕福な人々がパーティをやっています。その全くの別世界は当時のルーマニア人達が切望していたものなのでしょう。
それから闇医者ベベのカバンから取ったナイフや、彼が忘れていったIDカード、彼氏から借りた300レイなど、回収されていない伏線が少し気になります。
自分がパルムドールに相性がいいのもあるかもしれないけど、傑作です。
Balrogさん [DVD(字幕)] 8点(2009-06-13 15:45:23)
8.《ネタバレ》 時代背景がわからず、鑑賞後に当時のルーマニアの情勢を調べて初めて納得する部分が多かった。

チャウシェスク独裁政権下では労働力増強のために中絶どころか避妊まで禁止されていたそうで、恋人との口論の下りで違和感を持ったのだけれども、あれはつまり排卵日を計る以外、ろくに避妊方法がなかったのですね(ちなみにこの政策は元首夫人のエレナによるもの。皮肉なことに、女性による政策なのです。夫以上の暴君だったよう)。また避妊具の禁止と注射器不足から西欧国中最悪のHIV蔓延を招いた史実もあり、そうすると手術間際の「注射するの?」という不安げな台詞にも含みがあったのだろう。

夜の市街地がやホテルが暗いのも、電力すら満足でない国の経済状況を表す描写。生活物資にも事欠き、街には野犬が往行する。女性の出産を奨励する一方で国民の生活は極端に貧しく、一万人近くのストリート・チルドレン(通称「チャウシェスクの子ども達」)を生み出す結果となる。そして彼らを待ち受けていたのは貧困、児童買春、薬物中毒とHIVといった、あまりにも悲惨な運命。ヨーロッパ中から子どもの性を買うための観光客が集まっていたこの国が、本格的な孤児救済に取り組むのは21世紀になってから。

主人公が「工学部」に所属することが何度か言及されているが、これは「化学」に並んで政府が最も奨励した産業。初めて会ったときにベベがオティリアの身分を知り「都会で働けるな」と呟いたのはつまり、将来安泰のエリートであるということ。片やベベは老いた母を抱え、危険な違法行為に手を染めなければ生活できない身。もちろんベベのオティリアへの仕打ちは決して許されるものではないが、そこには嫉妬からくる歪んだ憎悪があっただろう。母子の場面を挟んだのは、彼が単純な悪人ではなく、ある意味では時代の犠牲者であると示したかったのだろう。

少し注意してみれば、さり気ない描写に史実が織り込まれているのがわかる。これは女性映画であると同時に、たった一日の情景に時代を浮かび上がらせる、優れた歴史映画でもあるのだ。
no oneさん [DVD(字幕)] 8点(2009-05-24 06:17:41)(良:3票)
7.つきあいで見ました。導入部が分かりにくくて「・・・?」と思っているうちにだんだんと進行しつつある事態と社会状況が見えてきます。きょうも世界のあちこちで繰り返されている事態をあくまでも奇跡抜きで追っていき、見る者をハラハラドキドキで消耗させていきます。どうしようもないルームメイトを演じた役者さんは迫真の演技でダメダメさ加減を出していました。結末はどうであれ、ともかくも映画が終わってほっとするやら力が抜けるやらで疲れました。
きのう来た人さん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-14 05:39:55)
6.《ネタバレ》 ちゃんとした脚本で役者がいいと、こうもいい映画が撮れるのですね。
後味がいいとは思わないけれど、ドキュメンタリを見ているようで、主人公の気持ちに入り込んでいけた。この種の理不尽さは、いつの時代のどこの国でも共通ということでしょうか。
突然のエンディングも、なんかいい。
のまっとさん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-13 23:11:52)
5. 完全予備知識0(ゼロ)で観たせいか、なんだか銀河鉄道999で、どこかよその星に行ったような気分になった。
 この映画を日本へ持ってきた配給会社は凄い賭けをしたと思う。
 全編主人公追っかけの雰囲気は、どことなく「バッファロー66」に似ているが、本作は限りなくリアリティを追求している。DVDに吹き替えを入れなかった理由が分かる。
 親友じゃなければ絶対に成り立たない会話のやりとりは、国、時代を越えて、今の日本のどこかでも聞こえてくるような気がする。
 でもタイトルの「4ヶ月、3週と2日」って……やっぱりズルいよ、嘘ばっかついて! もうじき5ヵ月じゃん?!(←半分冗談)
 
クロエさん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-10 09:04:59)
4.いや~ リアルでした~ 秀作ですね!.. 主人公が “とろい” ルームメートに振り回されるあたりや、恋人との絡みが 秀逸.. 映画として、演出として、すばらしい~..
コナンが一番さん [DVD(字幕)] 8点(2008-09-19 13:00:39)
3.《ネタバレ》  何というか、サスペンスやホラーの要素、青春ドラマ的な要素、社会派ドラマの要素がうまく混ざり合っていて非常に見応えのある作品でした。また、何気なく交わされる日常会話の端々からチャウシェスク独裁政権下のルーマニアの状況を垣間見ることができ、非常に興味深かったです。

 とにかく、最初から最後までサスペンスやホラー映画的な緊迫感に包まれていて、観終わった後は何かから解放されたかのような気分になりました(ちょっとエンディングは「えっ?」という感じでしたけど)。
TMさん [映画館(字幕)] 8点(2008-04-11 19:18:58)
2.初ルーマニア映画がカンヌでパルムドールを撮った映画、いやぁ、すごかったです。実話ではないんだけども実際に法律で禁じられていたことを取り上げてよくやってくれたと思います。妊娠してしまった恐怖で物事を深く考えることが出来なくなったガビツァのバカさ加減にはちょっと腹立ってきましたけどオティリアのキャラでなんとか抑えれました。この映画を見てるとほんと女性が可哀想に見えます。男は中絶は手伝うから後の処理は自分でやれな感じでさっさと逃げてしまい女二人で後処理をしなければならない光景はほんと残酷でした。寝不足で見たせいかぶれる画面でめっさ眠たくなりましたけど見終わった後の印象というのはズバ抜けて残るすばらすぃ映画でした。
M・R・サイケデリコンさん [映画館(字幕)] 8点(2008-04-01 23:01:15)
1.《ネタバレ》 カンヌのパルムドール受賞作品はさすがに凄い作品だ。こんな映画を過去に観たこともない。既存の映画の概念を完全に崩しているのではないだろうか。この映画を撮れる監督は現代には存在しないのではないかというほどの凄まじい才能を感じられる。
ストーリーははっきり言って「どうでもいい」ものであり、高い技術が使われているわけでもない。
ルーマニア人が金も掛けずに撮ったつまらない映画とジャッジする人がいてもおかしくはないが、音楽を一切用いず、長回しで撮り続けることにより、その場にいるようなリアリティ、臨場感を産み出している。
リアリティだけではなく、微妙な空気感の演出に上手さを感じられる。
「医者が帰ったあとのホテルに残された二人の重苦しい空気感」「恋人の母親の誕生日に呼ばれた際、はしゃぐ身内に囲まれたどうしようもない孤独感や、堪えられないほど苦しい状況下にあるのにそれが分かってもらえないという切なさ」などの演出が尋常ではない。
ストーリーが大したことないのに、まったく飽きることの無い映画だ。
ストーリーはどうでもいいと思っているが、監督が伝えたいメッセージは何かしら感じられた。
妊娠した友人を見て「こいつはバカじゃないのか!」と思う観客がほとんどだろう。
自分のせいなのに、何もやらず、場を乱すことばかり行い、肝心なアイテムも忘れるという、かなりいい加減な女性だ。
しかし、恋人宅で主人公と恋人との会話を聞くと、妊娠した女性とそれほど変わりがないことに気付く。
そして、胎児を捨てに行く際の彼女の挙動不審っぷりをみると、妊娠した女性と全く変わりがないと確信できる。
「人間はパニックに陥ると訳の分からない行動にでる」「人間はそれほど強いわけでも、偉いわけでもない」ということを通して、“人間の本質的な部分”を描きたかったのではないかと思っている。
妊娠した女性は単なるバカではなく、いわば我々と同類だ。
医者ももちろん同類だ。偉そうなことばかり言っているが、その根は単なるエロオヤジであり、IDもフロントに置き忘れるという間抜けなところもある。
このオヤジも実は内心パニックで、一目散にホテルから逃げ出したのではないか。
また、主人公と妊娠した女性は、恐らくいつまでも親友でいられるのではないかと感じさせたラストでもあった。
あの終わり方を見て、この監督はすべて計算でやっていると確信できた。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 8点(2008-03-23 22:37:24)
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【点数情報】

Review人数 35人
平均点数 6.97点
000.00%
100.00%
225.71%
300.00%
400.00%
5411.43%
6411.43%
7925.71%
81337.14%
912.86%
1025.71%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review3人
2 ストーリー評価 8.50点 Review4人
3 鑑賞後の後味 4.33点 Review3人
4 音楽評価 8.00点 Review2人
5 感泣評価 7.00点 Review1人
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【ゴールデングローブ賞 情報】

2007年 65回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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