8.家庭を維持するのに仕事は重要な位置を占めるのですが、主人公の主を演じる香川照之は全く我が振りをかえりみないで威厳だけを保つのに必死の、いい加減な男ですから子供や妻も同調しないのは当たり前!!家族持ちの人には身につまされそうなお話で中盤までは丁寧な作りで良かったですが終盤は??!・・・。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-06-08 14:59:02) |
7.《ネタバレ》 たしかに、そんなことがあるかいな?と思わせるような、無理がいくつか話の展開にある。けれど、そもそも黒沢清という映画作家は、私見ではメルヘンの作家であって、リアリズムの作家ではないのだ。ただしメルヘンといっても、普通のメルヘンではなくて、不気味なメルヘン、不可解なメルヘン、破滅的なメルヘンなどをこの人は描いてきたように思う。メルヘンには、話の無理はつきもの。これも、現代のどこかにありそうな家族を題材にしたメルヘンで、とことん崩壊してゆく家族が、とうとうどん底にまで落ち入ることで、逆に立ち直るメルヘンとなっておりました。香川照之はいうまでもなく、小泉今日子をはじめとする俳優陣がよかったですね。ただ役所広司は、出ました、黒沢清ものの常連、という匂いがいささか鼻につきました。 【goro】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-04-13 02:58:48) |
6.《ネタバレ》 前半の重さが効いた、特に香川照之のピリピリした演技が素晴らしい。トイレ清掃中にお金を見つけたあたりから現実から離れたような変な方向に行ってしまうものの、最後には軌道を戻し、希望を見せて終わってくれたので満足。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-04-12 22:02:47) |
5.《ネタバレ》 自分なりの希望を胸に米軍に入隊し、颯爽と家を出て行く長男。残された母親はある日、そんな彼が帰宅する夢を見る。憔悴し這々の体で帰還した息子は、この手で敵を何人も殺してしまったと、沈痛な面持ちで母に告げる。魘され、居眠りから飛び起きる母親。だがその夢は彼女にとって、いわゆる悪夢ではない。自分の忠告に耳を貸さず家から去った我が子が、自身の選択を悔い尻尾を巻いて逃げ帰ることを、彼女は願っているからだ。その願いが実現するためには、家を捨てた息子が家の外=戦場の悲惨さによりひどく打ちのめされなくてはならない。そうして彼女は心のどこかで息子の不幸を望み、その後ろめたさに魘されるのだ。父親にしてもそうだ。父としてふりかざす威厳をもってしても長男を家に繋ぎ止めることに失敗した彼は、幼さゆえ逃げ場所を持たない小学生の次男に対し支配的な暴君となることで、再び威厳を取り戻そうとする。そして自らが理想とする父親役を躍起になって演じる。リストラの不名誉を必死で隠しつづけることと同様に、たとえそれが如何に不毛な行為であったとしてもだ。そうすることで「家」を守れると彼は頑なに信じる。そして妻には良き妻良き母の役を、次男には従順な子どもの役を、それぞれ上手に演じるよう要求する。従順でありさえすればいい息子にピアノの才能があることなど、彼にとっては理想のマイホームを脅かす不吉な白蟻のようなものだ。私はここで、まさに白蟻を発端に崩壊する家族を描いた石井聰互監督『逆噴射家族』を思い出す。だが、エゴむきだしな壮絶なバトルの末に食卓を囲んだ『逆噴射』の家族に対し、こちらの家族は向き合うのでなく離散する。それぞれの闘いはそれぞれに家の外=戦場で行われ、それぞれの出来事は共有されることなく、それぞれの秘密となる。それでも、留守となり一旦機能を停止したその「家」に、秘密を抱えた彼らは再び帰ってくる。そしてやはり何事もなかったかのように朝食を囲む。たとえ本末転倒であっても、彼らはそうして家族に戻るのだ。続いて描かれる幕切れの強烈な鋭さは、黒沢清監督真骨頂だ。音楽学校の実技試験で桁外れの見事なピアノを披露する次男。演奏を終えた息子を迎えフレームアウトしていく彼らを、他の受験生の父母たちが振り返り、羨望の眼差しで見つめる。なんて理想的な家族だろう、と。 【BOWWOW】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-12-04 16:19:04) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 最近観た映画の中では、最も考えさせられる映画でした。今作の夫婦と兄弟の4人は、家族の体裁はあるものの、各自の考えや悩みを共有していない。それぞれが誰にも相談せず、それなりに自分で答を出している。だから独奏曲なのだと解釈しました。この4人の人生がそれぞれの「ソナタ」です。では、家族とは必要のない単位なのかというと、そんなこともない。三者が別々の事件を過ごした翌朝に食卓を囲むシーンや、両親が次男の演奏を見守るシーンには、家族の繋がりを感じます。でも、コミュニケーションの頻度とそれぞれが抱える問題の解決は別次元の話だと思いました。音楽に喩えるなら、時には和音を重ねたり、セッションを演じるようなタイミングがあったとしても、基本はカルテットではなく「ソナタ」なのだと…。この映画には、さらに「トウキョウ」が加わります。人口密度が高いと、他者との精神的距離はかえって広がるように思える。そんな場所で生き残るために、神経を擦り減らし続けるような圧迫感。それが「トウキョウ」の意味合いだろう。父の同級生や役所広司のように、適応できなかった人はバッサリと切り捨てられる。オーソドックスな流れだと、ここで家族の絆が登場するのだけど、今作は逆説的です。ここで、それぞれの「ソナタ」を強調している。長男は強い意志を持って自分の道を拓こうとした。米軍入りは突飛な選択に思えたけど、なんとか踏みとどまっていました。次男も、まさに「ソナタ」を演じることで、自分自身の人生の入り口に立ちました。気になるのは夫婦です。長男が勧めたように離婚という選択もあるでしょう。でも、この後の彼らの生き方を考えたとき、結婚生活を続けるかどうかは問題の本質ではない。一度は虚無的になりかけた個々の人生を、新しい価値観で捉え直すこと。その為であれば、離婚でさえ前向きな決断になることもある。「ソナタ」とは孤独になることではなく、単独の演奏でも豊かな音色を奏でることです。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-13 17:54:04) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 いつの間にか周りを埋め尽くす観衆、演奏後静かに歩み寄る両親。泥棒の登場と共に挟まれた非現実的な時間が、あの試験会場にも流れているように感じる。今は幻想と現実の狭間に揺れる天才の夢が、確固たる現実として結実するのかどうか。未だ一家は不透明な道を歩いてはいるが確かに微かな希望を感じた。 某細木○子氏のようにあんた死ぬわよと絶叫しながら将来を見る事は出来ないが、それでも希望を持って走りたいと思える作品だった。 【njld】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-11-08 04:21:01) |
2.《ネタバレ》 台詞が心にのこる映画がである。 小泉今日子演じる母親が両手を伸ばしだれか引っ張ってとつぶやくシーンは 通常のそれとは違う深い意味がこめられているし、彼女の無言の視線がまた 多くを語っていたと思う。役所広司は名俳優なんだろうが、この映画では まったくの無駄。ゆるやかな流れがいきなりぎくしゃくしてしまっている。 最後のピアノのシーン。子供を迎えにいくことが何かをいみしたのだろうか 【K2N2M2】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-06 06:56:49) |
1.《ネタバレ》 家族の崩壊だけでなく、それが再生するまでを完璧な演出で描ききった一本。登場人物の感情に呼応するように、動き、止まり、揺れるカメラワークと照明効果が素晴らしすぎる。大学の授業で習った“フィルム体験”とはこのようなことなのかと思い知らされた。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-01-30 02:31:55) |