4.《ネタバレ》 戦後まもない山口県のドイナカに暮らす小学生新子、ある日東京から転校生キイコがやってくる。ドイナカに馴染めないキイコだが新子と仲良くなるにつれ徐々に表情が明るくなる。
それに伴って、生々しくゴツゴツした大人たちの事情が、少年少女たちを翻弄する。
っていう現在の物語レイヤーと、1000年前のいにしえの日本の暮らしレイヤーが重なりながら、複層的な展開になっていく。
そのイマジネーションをスクリーンいっぱいに展開する新子は、様々な「死」と対峙し、徐々に現実に目を奪われていってしまう。それと逆にキイコは、新子から引き継ぐかのようにいにしえの日本に飛び込む。最終的には千年前の世界が、少女らのイマジネーションから自立していく。ここがなかなかややこしいけど、感動的。
また、僕はタツヨシの運命に強く共感した。あの最後の笑いは、父との決着がついたからだろう。眉毛の傷痕からも彼のこれまでのことがよくよくわかる。タツヨシと共に立ち向かう新子の強さもよかった。あの強さは千年の歴史を積み重ねる(まさにレイヤー)あのドイナカが育んだのだろう。
これがもし高校生とかによる物語だったら、男女のクライマックスはロマンチックになりがち(君の名はとか時かけとかサマーウォーズとかニノ国とか、ニノ国?)。けれど彼らは小学生、とてもさわやかに惜別する。もっと泣かせてくれてもいいのに、じつにさわやかだった。
彼ら彼女らも、2019年頃には後期高齢者だろう。つまり、今の後期高齢者のみなさんにも、この映画のような日々があったということ。僕にはあるだろうか。