6.冒頭からものすごく衝撃的だ。
反政府軍の少年兵らが集落を襲撃し、暴力と略奪の限りを尽くす。まさに悪夢である。
狂犬のジョニ―と呼ばれる15歳の少年兵を中心に、映画と知って観ていても大変ストレスを覚える程の底なしの悲惨を手持ちカメラの映像は映し続ける。
彼らの暴力の犠牲者はもちろん悲惨だ。しかし、幼い時から親と離され、一切の情愛や教育の機会をはく奪され、戦うマシンとして生きるしかなかった彼ら少年兵の悲惨もただごとではない。
市民から奪ったブタに情が移ってしまって食べようとする仲間から必死で庇う少年兵のシーン。
押入った先の高校教師に「馬鹿にするな!俺は小学2年の時、3年の勉強をしていた!」と、銃を突きつけるシーン。
ラジオから流れるキング牧師の演説も知らず、国連や赤十字にさえ恫喝して見せる、彼らの幼さに度々胸が詰まる。
並行して描かれるもうひとつのストーリーは、彼らの暴力によって家族や生活を奪われる少女の姿。
弟や父を守ろうと奔走し、不幸の中で祈り、他者に手を差し伸べる。
この映画の中で唯一見出される「良心」として、彼女の美しさは際立っている。
国や地域を特定しなかった監督の意図は、これが「どこかで起きた物語」ではなく「今もどこかで繰り返されている出来事」であることを伝えるためだとか。
そして、出演者は皆、現地のオーデションで選出された「元少年兵」だそうだ。
かなりヘヴィな作品だが、この現実を映像で観る価値は十二分にある。