1.《ネタバレ》 維新の志士は人材の宝庫ですが、悪名高い桐野利秋をやや違う角度から描いたこの作品のスタンスには好感を得た。
大河ドラマなら薩長同盟や龍馬との交流も描かれるのでしょうが、2時間という映画の制約もあって、さととの恋模様と西南戦争にスポットを当てた構成になっています。
残念と言えば残念だけど、中途半端に描くよりは恋と死に様に絞った判断は正解だったのかも知れません。
前半のサクセスストーリーはかなり駆け足ではあったけど、半次郎の人となりはきちんと描かれていたと思うし、とても魅力的な人物に思えました。
陸軍少将になって以降の物語がこの作品のメインということになるんでしょうけど、恋の行方も戦争の行方も興味深く、最後まで夢中になって見入ってしまいました。
まあ、恋も戦争も酷い末路を辿るわけですが、なんでこんなことになっちゃったのか言い訳するわけでもなく、薩摩の武士らしい潔い立ち振る舞いに感服しました。
冷静になって考えてみると、妻子もあり、妾も囲って、酷い男のようにも思えるけど、さとと2人で撮った写真がなんとも言えず感慨深かったです。
因みに作中では触れられていないけど、さとは洗礼を受けてクリスチャンとなり、生涯独身を通したそうです。
それを踏まえた上で、あの絶対にあり得ないファンタジーのようなラストシーンを見ると、これはこれでアリのような気がしてきます。